過去の投稿に画像リンク切れ多数ありご迷惑おかけしています.
覚え書き

使うための統計とは

昨日に続いての呟きです. 本書のタイトルには統計的とついているので,統計が勉強できると思った人は当てが外れたら申しわけないと思っています.「統計を知らなくても,統計を使って問題解決に挑もう」という趣旨で書いた本なので,統計の説明はしていません.統計学を勉強するには時間も労力も費やさなければならないのは他の学問と同じです.統計学を日常的に使う必要のある医療関係やデータ分析関連の業務に従事されている方々であれば,それは必要なことと諦めるしかありません,しかしながら,本書が対象としている一般の技術分野の皆さんには,最初に統計学の勉強に取り組むことで息切れしてしまい,本業の勉強が疎かになったり肝心の問...
覚え書き

Stat Spotting

先日のStat Spottingカテゴリーの記事で,そもそもSpot Spttingとは何かについてお話しするのを忘れていました.Stat Spttingとは私の知る限りでは,Joel Best(2008), Stat-Spotting: A Field Guide to Identifying Dubious Data, University of California Pressで最初に使われた言葉のように思います.今調べたら日本語訳も出ていました.ジョエル・ベスト (2011),林大 (訳)『あやしい統計フィールドガイド―ニュースのウソの見抜き方』白揚社です.翻訳者はタイトルを訳されるの...
覚え書き

チャートジャンク

昨日の『僕らが毎日やっている最強の読み方』の紹介で,TVで使用されたグラフに問題があったことをお話ししました.TVというメディアは新聞と違って中立性が求められています.電波という公共財産を占有して営まれる事業には公共性が求められるからで,そのために放送法という法律では,その第4条で以下のようなことが放送事業者に求められているのです. 一  公安及び善良な風俗を害しないこと。 二  政治的に公平であること。 三  報道は事実をまげないですること。 四  意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。 ですから,TVで使用されるグラフはデータを正しく可視化した...
覚え書き

あの人の統計リテラシーはいかほどのものなのか?

このブログのカテゴリーに「Stat Spotting」というのを設けてあるのですが,まだ一本も記事がないのでこのカテゴリについてちょっと書きます.と言っても,本日は池上彰,佐藤優(2016)『僕らが毎日やっている最強の読み方』東洋経済新報社</a>書籍のレビューのようになってしまいそうです. 「読み方」と題名にありますが,ここで公開されている手法・方法は特にユニークなものとも思えませんので,ハウツー本というよりは著者の知的活動の一端をファンに公開するといった類の本です.お二人とも新聞や雑誌,更には書籍等から大量の情報を仕入れていて,書籍の中ほどにそれらのリストが綴じ込んであります...
覚え書き

JMPくん

「統計的問題解決入門」に登場するJMPくんは昨年のDSJ(Discovery Summit Japan)でポスターで参加した際に何か見た目が楽しくなるような絵が欲しかったので,イラストレーターの原山さんに頼んで考えてもらったものです.あのJMPの飛び跳ねている人のシンボルをもとにしているのはもちろんです.見ようによってはマンガ化しすぎているので使用するにあたり,SAS社にお伺いを立てたところ,わざわざUSの担当部門に確認とっていいただき,快諾していただきました. ポスター展示には御大John Sallさんにも立ち寄っていただきました.JMPくんの絵を見つけたようなので「これはJMP Boy...
覚え書き

再現について思う

このブログを見ている人はまだいないと思うと,何か星空を眺めてつぶやいているという孤独な気持ちです.とはいえブログ書きの練習の意味もあって雑文を書きます.週末に定期的にアップしようと思っていたのですが,そうするといざ書こうとしても書きたいと思っていたことを忘れてしまっているので,思いついたときに書くことにしました. 「統計的問題解決入門」ではテーブルの結合(join)と連結(concatenate)について,日本語ではそれらの言葉の使い分けが曖昧であることを指摘しました.その他にも,計測不能という言葉も英語のimmeasurableとunmeasurableという使い分けがそもそも日本語にない...
覚え書き

Amazon初登場

『JMPではじめる統計的問題解決入門』がAmazonに登場しました.まだ最終原稿は手元にあるので何か不思議な感じです.Amazonといえば,レビューですけど,こういう本にはレビューはつかないそうで,ついているのは先生の書いた本に生徒がつけるとか,身内が多いそうです.これは本音の話なのですが,Amazonのレビューで,低い評価をつけられてももいいんです.例えば最近読んだ本の中で一番読んでよかった,國分功一郎(2011)『暇と退屈の倫理学』朝日出版社でさえ星一つをつける人がいるくらいです.しかも大学生の卒論レベルと手厳しいコメントもあります.大学生の卒論レベルではあそこまで文献を読み込まないと思う...
覚え書き

ソクラテスと大燈国師

このブログのタイトルは「統計的問題解決研究所」です.来月出版予定の「JMPではじめる統計的問題解決入門」のサポートブログですが,実は最近まで書籍名を勘違いしていました.「JMPではじめる統計的問題解決」とばかり思い込んで,後半の執筆では入門書ということを忘れて飛ばしすぎてしまったかもしれません.その意味でも,できる限りこのブログで入門者の皆さんのサポートをしていこうと思っています. このブログのタイトルの下の説明文も修正しなければなりません.そういえば,このブログのデザインはいささか寂しかったのでイラストレーターの原山みりんさんにお願いしてロゴをつくってもらいました.原山さんには書籍の表紙や...
覚え書き

ソフィーの選択(「選択の科学」の続き)

原稿でカットした内容を次回紹介すると書いておきながら,話を引き延ばして申し訳ないのですが,今回は「選択の科学」についての続きにします.早く書いておかないと忘れてしまうということがその理由です.おそらく現時点でこのブログを見ている人はいないはずですが,書籍がリリースされればこのブログに来てくださる方もいらっしゃるでしょう.その方々に過去に遡っていただくのも申し訳ないので「JMPではじめる統計的問題解決」の内容に関することは本書リリース後に書き始めることにしました. というわけで「選択の科学」です.自宅にはTVがないので知りませんでしたが,NHKで取り上げられて人気があったそうです.TVで紹介さ...
覚え書き

ページ数の制限に苦しむ

原稿を書き終えてから気になっていた箇所が色々とあって,それらに手を入れたりしています.書籍という媒体にはページ数という制限があることを今回今更ながらに思い知りました.どこで見切りをつけるのかが悩みどころです.「JMPではじめる統計的問題解決入門」は300ページを少し超えるくらいになりそうですが,栗原伸一(2011),『入門統計学』,オーム社が319ページですからほぼ同じくらいのページ数なので類書の中では標準というところでしょうか. 書籍にはページ数という制限があって,その中で厚い本薄い本いろいろあるわけですが,言語や国によっての違いもあるようです.アメリカに比べて日本の本は比較的薄いように思...
覚え書き

JMP操作の選択肢

続きは来週にでもと書いたきり,なかなか読書に時間が取れていません.週一度はこのブログは更新しようと思ってはいるものの,何を書こうかと考えながらタイプしています.毎日更新しているブロガーならばいざ知らず,毎週更新はなかなか難しいですね. 前回の続きから話を始めると,選択肢が多いと人は混乱してその行動にフラストレーションを感じるようになるということでした.その一方で,多すぎる選択肢は必ずしも悪いものではないと,自分の体験に基づいた思いもあります. アメリカのスーパーマーケットに初めて入ったときの驚きは今でも忘れられません.物資の豊富さだけでなく,商品の一つ一つに圧倒されました.例えば,ナス(eg...
覚え書き

選択の科学

表紙に写っている著者の写真に惹かれるものがあって手にとったのが,シーナ・アイエンガー(2014),『選択の科学』 櫻井祐子訳,文藝春秋です.自信に満ちたその姿はタイトルの「選択の科学」のなせる技なのかもしれません.読んでみて驚いたのは著者のハンディキャップのことばかりでなく,あの有名なジャムの実験の研究者であったことです. 書評ではあまりネタバレしないように心がけていますが,この実験は有名なので簡単にご説明しておきます.ジャムの試食販売で26種類を並べた際には試食客のうち購入したのはたった3パーセントだったものの,6種類しか並べなかった場合は集客は少なかったにもかかわらず30パーセントの客が...