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JMPと日本語

JMP

多くのJMPerが気づいていることで,かつ不満にも感じていると思うんだけど,JMPの日本語の扱いには難があります.Windowsでは英語環境(日本語環境以外ならなんでもいいですけど)下で日本語を入力すると「システムライン変換」になってしまうことがあるけど,JMPで日本語を使っていても同じ状況になることがある.ともに英語のソフトだからね.

キーボードを叩いても何も変化がないので,あれ?と思ってふと画面の左上を見ると小さなウィンドウが出現していて,今打った文字が入力されている.こんな経験はどなたにもあるのではないかな.これが「システムライン変換」です.これに対して,通常の日本語入力を「インライン変換」と言います.

他のソフトではまず「システムライン変換」になることはないので,JMPは英語のソフトなんだなと思うのはこんな時です.因みに,Mac版でもやはり現象は違うけど,日本語入力で問題あります.文章ではうまく説明できないのがもどかしい.

統計やデータ分析にはめっぽう強いけど,日本語はまだうまくないアメリカ人と思えば,私には違和感があるメニューの日本語も納得できます.例えば,JMP14から「古典的な計画」に従来型の実験計画が押し込められましたけど,英語だとここは単に「Classical」なんですね.日本語の古典という言葉には,典型的なという意味もあって,これは英語では「Classic」です.

それでは,「Classical」とはどういう意味かといえば,一番近いのが伝統的なという言葉.バッハのブランデンブルグは「Classic music」とは言わず「Classical music」なんです.米国で自動車通勤していたとき,毎朝ラジオの音楽番組を聞いていたんだけど,最初この発音が聞き取れなかった.クラスィコ・ミュージックってなんだろってしばらくの間思ってたものです.だからここは伝統的実験計画として欲しかったです.他にも,あげたらキリがないよね.

私は仕事柄それができないのですが,英語メニューの方がわかりやすいので,できればJMPは英語メニューで使うのがお勧めです.例えば,一変量の分布とか二変量の関係がそれぞれ「Distributiion」と「Fit Y by X」なのは書籍にも書いた記憶があるけど,ストレートでわかりやすい.

さっき中国語メニューをチラリと見たとき,それぞれ「分布」と「以x拟合y」になってたから,英語メニューの直訳になってるのに気づきました.何で日本語メニューだけ特殊なんだろう?一変量とか二変量とかの説明はメニューに含めるような情報ではないですし.一説によれば,JMPを日本に初めて紹介した芳賀先生の命名だとも聞きましたけど,そうならば変えられないよね.

蛇足だけど,JMPで言語環境を変えるのはとても簡単です.「環境設定」の「Windowsのみ」をクリックして,表示言語のプルダウンを『English』にして『OK』すればいいんです.スクリプトで問題が起こるかも,というアラームが出るけど,スクリプトを使ってないなら再起動する必要はありません.同じように「中国語」なんかにも変えられるので,試してみてください.『OK』が『确定』なんだとわかるくらいですけど.あ,日本語に戻るときはContorol+Kで環境設定が呼び出せるということをお忘れなく.

母数がパラメータと表記されていたり,日本語の教科書で勉強した人にはわかりにくいところもあるけど,これらはまだ許せます.なんとかして欲しいのは,例えば,JMP15で実装された「ホバーラベル エディター」の入力時の問題.「ホバーラベル」っていうのは,こんなやつです.

グラフの要素をマウスオーバーすると出てくるラベルで,これが編集できるんです.例えば,こんなふうに,グラフレットとして別のグラフを表示したりできます.モザイク図のドリルダウンなんて用途に有効かと.

それ以外にも,テキストレットやグリッドレットと称したスクリプトを組み込むことで,かなり自由にホバーラベルを編集できます.そのためのウィンドウが「ホバーラベルエディタ」なんだけど,グリッドレットというラベルの表示項目を編集するのに日本語ではちょっとしたコツが必要です.

例えば,「行」という項目を削除するには,このウィンドウの「ターゲット」に「行」と入力すればいいんだけど,それだと『追加』ボタンがアクティベートしません.1バイト文字が入力されて初めて『追加』できるようなので,例えば「a行a」と入力すると『追加』できます.aは1バイト文字ならなんでもかまわないけど,挟むのがポイントです.(なぜ挟むのかは,試してみるとわかります.)

ややこしいのは,これを「行」に置き換えなければならないこと.エントリから”a行a”を選択して,『置換』をクリックするんだけど,このときFEPが半角(Windowsなら「あ」でなく「A」)になってないと『置換』がアクティベートしないんです.使えないことはないんだけど,隠しコマンドみたいなこの仕様はなんとかならないもんでしょうか.と思ってたんだけど,JMP16では修正されたみたいで安心しました.

バグとまでは言わないけれど,日本語環境でのテスト不足はあるかもしれません.米国SAS社の皆さん,今後は日本語環境でのテストを入念にやってください.JMP14はEarly Adapterにしていただいたんだけど,JMP17ではボランティアとして応募してみようかな.

それでは.

統計的問題解決研究所

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