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JMPは初心者に優しいか?の続き

JMP

先週書きかけだったので,続けます.JMPが初心者に優しいようでいて,そうでもないと思うことの一つが,設定のオプションです.正確にはプラットフォーム起動ウィンドウのオプションと言った方がいいのかな?通常,列の割り当てウィンドウの左下にあるチェックボックスとかラジオボタンの類です.

これらのオプションはいくつかのタイプがあって,まず一つは,より高度な統計処理の設定です.例えば,「多変量の相関」の『推定法』とかがそうですね.デフォルトの「デフォルト」にしておけば,データテーブルの列数や行数などによってJMPが自動で設定してくれるんですが,初心者はそういうことが背後で実行されているとは知りません.プルダウンしてみると,見慣れない用語が並んでます.最尤法もまだ学んでない初心者にはREMLを理解するのは困難です.そこで不安になります.

このタイプのオプションは,初心者には難しいことが書かれていることが多いので,基本的にデフォルトのままで良くて,もう少し統計学を学んでからデータと目的に応じてこのオプションを変えます...と説明しています.もちろん中には基本的なオプションもあります.今の「多変量の相関」なら「配置の方法」や「一変量の分布」なら「工程能力分析の実行」がそうですね.主に表示系です.わざわざここに持ってくる必要性はあまりないように思うのですが,いかがでしょうか.

そして3番目が,赤三角実行コマンドのパラメータの指定です.代表的なのが,「応答のスクリーニング」の「実質的な差の割合」です.赤三角から実施する「平均の比較を保存」の設定パラメータなんですが,ここに値を入力しないとデフォルトで1として実行されます.そもそも「平均の比較を保存」というコマンド名がわかりにくいです.

カテゴリカル変数の水準のすべてのペアごとに,通常のt検定,実質的な差に対する検定,実質的な同等性に対する検定の結果を実施して,データテーブルを新たに作成してくれるわけです.このコマンドでは,同等性の検定というのを実施してます.実質的にどのくらいの差であれば同等と見做すかという値を先に与えておいて検定を右側と左側で実施しています.

但し,上述したようにデフォルトでは何も入れないと1になっているので全く使えません.そもそもこのテーブルはJMP15までは英語表記のままで,「実質的な差」列は「Practical Difference」列となってました.この検定を実施する際,この値を適用されます.応答の標準偏差の6倍(即ちRange)に「xつ実質的な差の割合」に入力した値をかけた値が同等性の検定に使用されます.一般的に1では大きすぎます.なんでデフォルトを現実的な1にしなかったのだろう?

最も大きな問題は,この設定が起動パネルにあることです.本来なら,「同等性の検定」コマンドを実施すると,その設定パネルが表示されるGUIの方がわかりやすいはずです.何を言っているのかと言うと,設定が先でコマンド実施が後というのは時間的に逆だということと,GUI距離的に離れすぎています.基本的にコマンド実施時点で設定パネルは閉じられているので.

ということでJMPも初心者向けに改良する余地はまだまだあると思ってます.こういう要望は,JMP Japanに言ってもしょうがないらしいので,USの技術が来日したときにでも要求してみようか,などと考えていますけど,その日が来るのはまだまだ先になるでしょうね.

それでは.

統計的問題解決研究所

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