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覚え書き

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大掃除と最適化

今日から12月ですね.12月と言えば師走.師走と言えば大掃除を想起するのが日本人です.新年早々を塵一つなく迎えたいという願いの顕れでしょうか.何かと忙しい年末にわざわざ大掃除しなくとも,新入学・入社を期に引っ越しする際に不要なものを捨てたりすることが多いでしょうから,大掃除をするならば3月のほうが合理的のような気もします.米国ではスプリングクリーニングといって大掃除は春と決まっていました.これは冬の間の暖房(石炭ストーブや暖炉など)の汚れをシーズン終了を機に家中を掃除したことの名残です.大掃除とまではいかないけれど,今でも春先になると机の上の整理・整頓をしたくなります. という枕を置いて,以下...
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統計とチンパンジー

今年のDiscovery Summitでは産業分野からの発表が増えました.産業分野からのコミッティ委員メンバーとして,ありがたいことです.企業に所属している技術者が社外発表するのは,会社によってはハードルが高くてなかなか困難なご時世ですが,それを乗り越えてでも価値があると考えています. これはわたし自身の体験ですが,発表を意識することで考察のレベルがぐっと高まります.発表前になって粗を見つけてしまい大慌てで対策を考えたり,あるいは発表のストーリーを軌道修正したりということは度々あります.そこに価値があります.技術者としてもそのことには気づいているので,発表はしたいんだけど,という方がたくさ...
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事例検討会のご案内とMac版の最新情報など

Discovery Summit Japan 2118に参加された皆様,お疲れ様でした.わたしも前日の朝から高橋先生による「紙ヘリコプターを用いた実践型計画法入門」のお手伝いをしたりして,何かと動き回っていたので今になってどっと疲れが出ております. 上述の高橋先生のセミナーは丸1日のセミナーなので,遠方からSummitに参加するために前泊される方も多いとのことで,Summitの前日に開催するという企画で昨年から始まりました.来年も開催すると思いますので,「実験計画って何の役に立つの?」と疑問に思われる方は是非受講してみてください.32,400円(税込)の有償セミナーでしたが,Summitの...
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等高線を読む際のヒント

紅葉の季節が近づいてきました.どこかに山登り(といっても本格的な登山ではないです)にでもいこいうかなと地図を眺めていて思ったことを本日は.「モデルのあてはめ」は実験データを表現する数式を導出してくれるJMPの代表的な機能です.ですから,モデルとは数式そのものを指しています.一方,モデルには日本語で模型という意味もあります.わたしはモデルを考えるときは常に模型のイメージを大切にしています.模型といっても,いわゆる工作模型の類です.応答関数の性質やその挙動を把握するのには実験データを仲介としてシステムを模型化するという考え方が重要です.この意味では,予測プロファイルよりも曲面プロファイルの方が直感...
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話術の話

今週は依頼を受けて某所で「統計リテラシー」のセミナーを開催しました.本来のわたしのスタイルは実験計画などの事例指導を兼ねて,自らも技術者の一員として一緒に問題解決に挑むというものなので,通常はセミナーなどを自主的に実施することはありません.もちろん,要望があれば,実習形式のセミナーでJMPの操作なども教えたりしていますが,単なるセミナーはあまりやりたくないのです.講演するならば他にもっとうまい人がいるし,そもそも人前で話すのが苦手だからです.よく「そうは見えない」と言われますが,いつも人前で話すのはとても緊張します. ロバート・ライト(2017)『なぜ今,仏教なのか』早川書房によれば,お釈迦...
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暗黙知と問題解決

先週の続きを書こうとしたのですが,三週続くと飽きるので急遽話題を変えることにしました.そこで本日は「暗黙知」について解説します.元々は3年ほど前のJMPer’s Meetingで発表した際の配布資料で,(ページ数の制約から最終的に原稿からカットしましたが)『統計的問題解決入門』の第5講のオリジナル原稿の一部にもなっていました.それに少し修正を加えて以下に掲載します.暗黙知という言葉をご存知でしょうか?どこかで聞いたことあるという方も多いかと思います.「大事なことは言葉では表せない」というようなコンテクストで使われることが今の日本では一般的で,以心伝心とか拈華微笑などとも同意です.因みに,拈華微...
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AI vs. 教科書が読めないこどもたち(その2)

先週の続きです.『AI vs. 教科書が読めないこどもたち』p73の表1-1は「10-20年後になくなる職業トップ25」というリストで,その第4位に「コンピューターを使ったデータの収集・加工・分析」があって.それを見た人からJMPを勉強しても無駄になるのか?と質問を受けました.日本人は本を読まなくなったとはいえ,売れている本の影響力はまだまだたいしたものだと思った次第です.さて,短い答えを先に言うと,これは誤訳です.この表の出典は松尾豊「人工知能は人間を超えるか」角川EPUB選書とのことで,更にその原典は先週も引用しましたC.B.Frey and M.A.Osborne (2013), "TH...
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AI vs. 教科書が読めないこどもたち(その1)

本日は,新井紀子(2018)『AI vs. 教科書を読めないこどもたち』東洋経済新聞社について.少し前に読んでいた本なのですが,ブログに書くのを見合わせていました.迷った末にやはり書くことにします.というのも,この書籍のp73の表1-1に「10-20年後になくなる職業トップ25」というリストがあってその第4位に「コンピューターを使ったデータの収集・加工・分析」とあるのを見た人から「JMPを使えるようになっても将来は役に立たなくなるのではないか」と聞かれたからです.確かにIBMのWatsonはSPSSを使って統計分析をしますし,そのような懸念も出てくるかもしれません.でも,これには著者の勘違いが...
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疲れる話は続く

今週は泊りがけで出張だったのですが,隣の部屋の宿泊客の鼾で眠れずひどい目に合いました.もともと枕が変わると寝付けないたちなので予算ギリギリに広い部屋に泊まっているのですが,低周波の音には効果はなかったようです.フロントに聞くと隣の人は連泊されるとのこと.お願いして別の部屋に変えてもらい,翌日はことなきを得たのですが,当日は朝早くに目が覚めてしまって,なんとなくTVを見ていました.自宅にはTVがないので,ホテルに泊まったときなどつい珍しくて見てしまうのですが,早朝ですと通販番組くらいしかやってないんですね.アメリカに住んでいた頃はAs Seen on TVをこよなく愛していて色々な通販商品が自宅...
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疲れる話

まだまだ暑い中でエアコンが故障してしまいまして,ダメ元でお願いしたら翌日には修理に来てくれたのですが,その晩は大変な目にあいました.寝不足でバテバテだったのですが,来ていただいた修理の方がわたし以上にお疲れの様子.聞いてみると,やはり今年の夏は大忙しのようで,その日も10件のお宅を回らなければばならないとか.冷却ガスのボンベを運ぶのも辛そうだったので,手伝ってあげたりしたのですが,あの様子では疲労のために作業効率も上がらないでしょうし,何かの事故に繋がらないかと心配してしまいました.本日は疲労について考えてみます.何らかの作業・活動をシステムと捉えたとき,その出力として疲労あるいは疲労感が考え...
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フォローアップセミナーのフォローアップ

先日のフォローアップセミナーには,暑い中での開催にも関わらず多くの方に参加して頂きました.この場であらためて感謝いたします.今回は読者限定セミナーという性格から先着順にはしたくなかったので,SAS社の営業さんから開催案内をしてもらうことにしました.このためか,蓋を開けてみれば予想よりも業界が偏ってしまいました.今後,同じセミナーを別の分野の皆さん対象に広げていく予定ですので,その機会があればぜひおいで下さい.それと第5講を対象とした今回の続きのセミナーは必ずやります.今度はもっとゆっくり時間を掛けて,懇親会の場で公開事例相談などをやるという案も出ていますので,実現したらお互い有意義なイベントに...
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台風とJMP

アドインの話の続きを書こうと思ったのですが,同じ話が続くのは避けて本日は台風の話でも.先日の台風は,合同台風警報センター(JTWC)ではかなり前から上陸はしないとの予報でしたが,気象庁の予報では数日前まで関東直撃でした.個人的にはJTWCの予報の方が当たるような気がしているのですが,まっすぐに関東地方に向かってくるのでどうなるかと興味深く観察していました.結局,JTWCの予報通りになり,何事もなかったように過ぎ去ったわけですが,犬吠埼に最接近した以降の後半の進路は定性的には気象庁の予報に近かったようにも思います.気象庁も予測精度については米軍に引けは取らないのでしょうけれど,台風の進路の長期予...