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JMPのグラフ背景に画像を貼る

JMP

先日,某所で質問を受けました.それに関連して,少し前に書いたJMPの棒グラフの色を変える話の続編を「JMPのグラフ背景に画像を貼る」としてお話しします.質問というのは,グラフの背景に描画データにマッチしたグラデーションを入れたいというものでした.今までそのような必要性を感じなかったので,その場ではお答えできなかったのですが,結論から言うとJMPのグラフ背景に画像が張り込めるので,その機能を使えば可能です.このテクニックを応用すると,例えばこんな感じのグラフが書けます.

このJMPくんは『統計的問題解決入門』の原稿に使ったそのものの画像なのでサイズが小さく,グラフ全体に引き伸ばしたのでボケてしまっていますが,グラフのポイントの説明にJMPくんに指示させたりと面白いアイデアが簡単に実現できるので今後いろいろ試してみようと思います.

頂いた質問では画像ではなくグラデーションだったのですが,Excelだと簡単にできるんですね.リンクは貼りませんが,適当に「グラフエリア」「背景」」グラデーション」で検索かけたらそのやり方を解説しているページがすぐに出てきました.質問者に詳しくは聞きませんでしたけど,おそらくこんな感じのことをやりたいのでしょうか.わたしはエクセルを使わないので,Numbersで同様なグラフを書いてみました.
 

見栄えが良くないと言うことももちろんありますが,そもそもグラフには必要ない要素は入れないのが原則です.背景のグラデーションなどはグラフの持つ情報に対するノイズに過ぎません.このようなグラフ要素をEdward Tufte先生はチャートジャンクと呼びました.ここでジャンクと言っているのはガラクタとか役に立たないという意味です.

チャートジャンクは役人の作ったグラフによく見られます.例えば,今リアルアイムで文科省のページを訪れているのですが,適当にリンクをクリックすると,やはりこんなのを見つけました.正に「犬も歩けば棒に当たる」状態ですね.まず上にある「文化庁予算の推移」の棒グラフは立体的な円柱に見えるような視覚効果が付いています.何ゆえ円柱グラフにしなければならなかったのか理解できませんが,見にくくなることだけは確かです.下は悪名高い3D円グラフですが,ご丁寧に二重ドーナツになっています.3D効果はもちろんチャートジャンクですが,最外周のドーナツも,色を変えたりと他の方法もあるしそれほど重要な意味があるとは思えないのでチャートジャンクと見なして良いように思います.


チャートジャンクは少なくとも可視化のグラフでは排除すべきと考えますが,視覚化のグラフではアイキャッチとしての効果があるという研究結果もあるようで,一概にダメとは言い切れません.(JMPのグラフに期待する効果とは思えませんが.)実は,以前背景に写真を貼ったグラフを米国SAS社の方のプレゼンで見たことがありました.そのときは他のソフトで画像処理したのだろうと思ったのですが,質問をいただいてそのことを思い出しました.もしかしたらJMPでも背景に任意画像を設定することができるかとGUIをいじったのですが,どうにも見当たりません.そこでSASジャパンの方に尋ねたら,やはり可能でした.


やり方ですが,最初に画像をコピーしておくことがポイントです.ですから,グラデーションを入れたいのであれば,他のソフトはやはり必要になります.適用なサイズの四角形を作ってそれをグラデーションで塗りを入れます.そのオブジェクトをコピーした状態で,グラフ背景の右クリックメニューを開くと「編集>背景イメージの貼り付け」が出現します.通常はコマンドを実行すると画像の場所を聞いてくるというUIが多いので,これが盲点でした.更に「イメージ>サイズ/スケール>グラフサイズに合わせる」を実行するとグラフ背景いっぱいに広がってこのようになります.
 

このときの注意ですが,グラフ範囲は軸座標の範囲なので通常の設定では余白ができてしまいます.この図では,最初に大きめに軸の範囲を設定して画像を貼り付け,その後で元のサイズに戻すといった工夫をしています.ヒストグラムの場合は度数軸の調整ができませんから,何か他の工夫が必要です.それと検証したところ,「一変量の分布」レポートのグラフにも貼ることはできました.但し,グラフサイズに合わせるというコマンドがありませんので,画像サイズを別途指定しなければならにので扱いにくいかもしれません.

画像を貼るのにわざわざJMPでやる必要はないかもしれませんが,簡単な画像処理なども実装されているのに驚きました.アイデア次第ではプレゼン映えがするグラフが描けるかもしれません.
 

それではまた.

統計的問題解決研究所

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