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実戦はマニュアルでは学べない(京都探訪)

覚え書き

久しぶりに京都に行ってきました.お会いした皆様どうもありがとうございました.新入社員の頃に現地調整員として一月ほど京都に滞在したことがあって,そのとき以来京都はお気に入りの土地です.底意地が悪いとかも聞きますが,おそらくそれは外から侵略者が多くやってくる土地柄ゆえのことでしょう.プラベートでも何回も旅行していますが,私の知っている京都の方々は皆さんとても親切です.私がよそ者だからかもしれませんが.

時間があったので,お気に入りの場所を巡ってみました.

木屋町通に流れる高瀬川は相も変わらず良い風情でした.人気のない先斗町もいい感じでした.昔馴染みの店はもうないのが残念ですが,今度は夜の先斗町にも再び訪れてみたいですね.木屋町通を四条から三条へと歩いて河原町三条の交差点へ向かう途中に池田屋があります.池田屋騒動で有名な場所です.今回京都の方とお話ししていて,池田屋と寺田屋を勘違いというか言い間違いして,一瞬話が通じなかったりしました.申し訳ない.あの坂本龍馬で有名な寺田屋ではなくて,新撰組の襲撃で有名な池田屋です.両方とも建物には史跡としての価値はないようですが,その場所を訪れることで当時の人々を身近に感じられるものです.

池田屋騒動にも出動した新選組隊員に斎藤一という人がいます.池田屋騒動では土方隊のメンバーとして参加していたようです.新選組では三番隊の組長を務め副長助勤というから新選組で近藤,土方についでナンバー3だった人です.剣の腕は凄まじく,一番隊組長の沖田総司と双璧をなし,あの永倉新八をして「斎藤は無敵の剣」と語らしめたといいます.

とにかくあの時代の戦闘ですから真剣です.この人は新選組という明治政府の指導者にとって敵だったにも関わらず明治維新後に警視庁の警部にまでなった方で,おそらくその凄腕とともに人柄が好かれたのでしょう.真剣での戦闘について,斎藤一が後年語っている言葉がWikiに紹介されています.

「どうもこの真剣での斬り合いというものは、敵がこう斬りこんで来たら、それをこう払っておいて、そのすきにこう斬りこんで行くなどという事は出来るものではなく、夢中になって斬り合うのです。」 

『統計的問題解決入門』の第4講で,実践ではなく実戦という言葉を当てているのは宮本武蔵だけでなく斎藤一を意識しています.私はセミナーで「実戦はマニュアルでは学べない」という文脈で斎藤一の話をもよくします.事例を紹介すると事細かに書き取ってマニュアルを作る人がいるのですが,そういうものは実際には役に立たないどころか弊害になります.こう切り込んできたらこう受けるというのがマニュアルですが,実戦では思っていたように切り込んでくれるとは限りません.こう払ったら,思うように受けてくれるとも限りません.この思い込みが命取りになります.実験計画でもマニュアルを作ったりすると,L18に無理に必要のない因子を割り付けるようなことに繋がります.あるいは必要な因子を切り詰めてし待ったりするのももっと良くないです.だからカスタム計画を使えとかそういう話でもなくて,最悪なのはマニュアルに書いてあるような問題を探しに行ってしまうことです.

実戦の場で役に立つのはマニュアルではなく型です.いくら経験を積んでも型が作れていない人は真剣勝負に負けます.その型は自分で作ることがベストですが,型であれば教わることも伝えることもできます.私も皆さんには型をお伝えしていこうと思います.型といってわかりにくければエッセンスです.例の「ホリエモン『寿司職人が何年も修行するのはバカ』発言」と根っこは同じです.型はクラスで事例はインスタンスと言えばわかる人にはわかりやすいでしょう.

今回もう1つ訪問したお店があります.知恩院の近くにある一澤帆布という帆布鞄のお店です.この一澤帆布の職人さんにはマニュアルはないそうです.マニュアルに頼ると職人の知恵と工夫が生まれないからだそうです.実戦は知恵と工夫を生む場でもあるのですね.一澤帆布については別の話もしたいのですが,それはまた今度.

それでは.

統計的問題解決研究所

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