過去の投稿に画像リンク切れ多数ありご迷惑おかけしています.

オーギュメントコードと実験計画

覚え書き

先週お話ししたように,ブログ移行の作業中です.こちらへのインポートがうまくいかないので,手動で過去の投稿を移しているのですが,この機会に記事を読みなおして適宜修正を入れています.今だったらこう書かないなというのが結構目に付きますね.これから過去の記事を読まれる方がいらっしゃるならば,こちらで読んでいただく方が少なくともタイプミスは減ってます.もうしばらくはあちらでも記事を投稿する予定でしたが,やってみるとやはり面倒なので来週からは更新止めるかもしれません.少なくとも,あちらでは画像を入れたりリンクを貼ったりもしませんので,今後はこちらにきていただけるとありがたいです.

という事情で過去の記事を読みなおしたりしていますが,「統計的問題解決入門」執筆当時のことが思い出されます.わたしの場合,大学の先生とも違って,執筆には土日をさくしかないのですが,執筆中はいつも鶯の鳴き声が響いていた記憶があります.今も鶯の谷渡りが聞こえているので,ページ数の制限や,外国人の名前を呼び捨てにするかとか,データ引用の著作権のことなどで悩んだり,そもそも書籍を出版するなどというのは無謀だったかもと後悔したことなどがフラッシュバックしています.今になって振り返れば,大変だったけれどセミナーで同じことを繰り返さずに済むようになったのは,その甲斐がありました.先日も「温度は折れ線グラフで書いてはダメだよ」などと話していたら,比例尺度と間隔尺度との違いがわからないというので「p7のコラムを読んでね」と返事したりしてます.

一番の収穫はブラインドタイピングできるようになったことでしょうか.実は,性懲りも無く別の本を執筆しています.「統計的問題解決入門」の執筆ではようやくブラインドタイピングできるようになった頃に脱稿でしたから,今回は前回比およそ1.5倍で執筆中です.脱稿が見えてきたら,またこの場で報告いたします.

さて,「DOEを成功させるためのヒント」の続きですが,今週は前置きが長くなってしまったので,前回の「カスタム計画を使おう」を補足するにとどめます.わたしはカスタム計画一押しで,少なくともイノベーションを目指す技術者にはその他の計画は必要なしという過激派ですが,いくつかの例外はあります.三つあって,その一つが拡張計画です.といっても,特定の計画手法があるわけではなく,計画を拡張するというだけの意味に過ぎません.実験計画メニューの下にある「拡張計画」では,拡張選択として以下の手法が用意されています.

ここで拡張計画といっているのはこの拡張選択の右端にある「拡張計画」です.ちょっとややこしいのでSAS社には言葉を変えてもらいたいですね.そもそも英語では拡張計画はAugment Designなのですが,拡張という訳はJMP日本語版独自のものでしょうか.Augmentは拡張というよりは増強です.アメリカ滞在時にUnited States Marine Band(海兵隊の音楽隊)の奏者にサックスを習っていたので,少々Jazzのコードがわかるのですが,augと添字されるコードがあります.(Jazzにだけ用いられるというわけではないですが.)5thが半音上がって根音,長三度,増五度とノート間隔がすべて長3度になるちょっと独特な奇妙な感じがする特殊なコードで,オーギュメントコード(オーグメントとも)と言います.このaugはaugmentを意味するもので,明らかに増加する(半音上がる)ことからのネーミングです.ですので,augment designは拡張計画というよりは増大するというニュアンスを加味して増強計画と訳した方が良いと考えています.

そうでないと,日本語で拡張は範囲の拡大を意味しますから,後付けで設計因子が追加できるのかと思う人が出てきます.(実際にいらっしゃいました.)確かに元がカスタム計画であれば,実験空間の拡張もできますが,設計因子の追加は無理です.実験空間の拡張もせっかく取れているバランスが崩れるので,軽々しく拡張するのは考えものです.拡張計画は交互作用の追加のためと割り切った方が安全です.そういえば,以前「計画を拡張すると手薄になるのではないか」という質問を頂いたこともあります.「拡張とは書いてありますが,実際は増強です.」とこのときはお答えしました.

拡張計画では「実験回数の指定」にいつも悩むのですが,そこはうまく計画の評価を使ってください.実例を挙げて,拡張計画をうまく使って実験数を圧縮する事例なども紹介したいのですが,すいません,時間が来てしまいました.ブログ継続のコツは時間をかけすぎないことなので,ここで締めます.

カスタム計画以外に例外的に使う計画の残り二つについては書けなかったので,また今度お話しします.それではまた.

統計的問題解決研究所

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