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DOEは必殺技

統計学

今年最初のJMPer’s Meetingはいよいよ来週に迫りました.後半のジャパン・セミコンダクターの事例発表が実践編なので,私の担当する前半の基礎編で何をお話しようか今も考えているところです.「JMPerはDOEをやろうよ」ということからは外れない予定なのですが,割とアドリブで話してしまうタイプなので,聞いてくださる方の反応次第では脱線することはあるかもしれません.JMPer’s Meetingは既に満席でキャンセル待ちとなっているのですが,ご興味あれば直接連絡ください.

先日SAS社から連絡ありまして,都合でキャンセルされた方から資料配布の予定はあるかとご質問いただいています.理由はいろいろありますが,どのような講演でも資料は配布していません.プレゼンのノウハウ本の中には「資料は配布しない」ように指導しているものもありますが,それに従っているわけではありません.学会発表とも違って講演のスライドは「話し」が主でそれを補足するためのものです.ですから,スライドだけを「読む」と政治家の発言のように主張が(結果的に)部分的に切り取られてしまうことを懸念しているからです.更には,講演の場は一期一会であることを大事にしたいと言う理由もあります.どんな講演であっても,資料はそのために毎回作成していますし,講演後に使用した資料は必要な部分だけを残して削除してしまいます.自分の手元にも残ってない資料が他所様にあるのも不自然です.

このような事情をご理解いただければありがたいのですが,興味はあるけれど参加できないと言う方もいらっしゃるかしれません.最近参加したカンファレンスで,資料非公開だけど自らのfacebookに投稿すると言う方がいて,なるほどと思ったので,このブログで追加補足した内容を書いていくことにしました.私はfacebookもTwitterもアカウントは持っているのですが,性に合わないのか全くの休眠状態ですので.

前置きが長くなりましたが,そこで本日は「DOEを成功させるための7つのヒント」のその1「DOEは必殺技」について書きます.

必殺技と聞いて何を思い浮かべるかで年齢がわかりますよね,例えば,「週刊少年ジャンプ」のヒーローたちが繰り出す最強必殺技20選のいくつをご存知でしょうか?わたしの場合,必殺技で思い浮かぶのは90年代後半にアメリカで大流行したプロレスです.まさにこの時期にアメリカに滞在していたのですが,WCWとWWFの視聴率競争がMonday Night Warsなどと呼ばれていて,私も毎週月曜日を心待ちにしていました.特に好きだったのが,ゴールドバーグのジャックハマーとダイヤモンド・ダラス・ペイジのダイヤモンド・カッターでした.話が脱線しました.

なぜDOEが必殺技なのかと言うと,(問題解決に対する)威力が絶大であると言うことだけではありません.必殺技はそれを出すタイミングが重要なのです.ジャックハマーは大技なので相手が元気なうちは仕掛けられるものではありません.スピアーなどの他の技で相手が弱らせてから技をかけてフィニッシュに至るわけです.

DOEでもタイミングは大変重要です.DOEでは実験は背景因子の影響を可能な限り低減したり,特性を通常とは異なった手法で測定したりします.即ち,DOEを実施するには金も時間もかかかるのです.私たちとしてもこの一回で勝負をつけると言う気迫が必要です.ですから,システムの考察が不十分なうちはまだDOEを実施するタイミングではないのです.特にカスタム計画を採用するならば,交互作用の事前知見は大変重要です.よくモデルに二次までの交互作用と二乗項全て(いわゆるフルモデル)を入れているものを見かけます.もちろん,その部分の交絡がなくなるのでやってはいけないと言うことではないのですが,実験数が増大すると言うデメリットを忘れてはならず,実験数の制約のために設計因子を削るなどという事態だけは避けるべきです.なぜならば,カスタム計画には拡張計画が適用できるからです.交互作用にはデータ構造にパッチを当てることはできるけれど,設計因子を追加することはできないからです.

DOEという必殺技を繰り出すためには,既存データの分析結果や計測手法の工夫など様々な準備を整えてからにしようという話,お解りいただけましたでしょうか.といっても,まずは手始めにDOEを実施するというのもアリです.でも,このときはExploratory(探索的)DOEであって,Confirmatory(確認的)DOEが後続することを忘れないでください.当日はこのようなヒントをあと6つお話ししますが,このブログに後日機を見て投稿していきます.

それではまた.

統計的問題解決研究所

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