過去の投稿に画像リンク切れ多数ありご迷惑おかけしています.

実験計画とハンデキャップ その2

実験計画

ここのところ時間に追われてゆっくりブログを書くことができないでいます.画像とかスクリーンキャプチャも入れたいところですが,その時間がありません.しばらくの間,2週間に1回に頻度を落としてでも継続はするつもりなので,気の向いた時にでもお立ち寄りください.

先週は実験計画を実施する技術者がハンディキャップを背負っているときについて考えました.ハンディキャップは,周囲の理解という環境面と費用や時間の欠如といったリソース面に分けて考える必要がありますが,先週は環境面のハンディキャップに対する対策について書きました.

ようするに,言葉は悪いですが騙してしまえばいいんです.実験計画という言葉を使うから,それを不安に思う人々の反発を招くわけです.この不安には,何か新しいことに対する抵抗からくるものと,過去の失敗の経験からくるものとがあります.後者の場合であれば,おそらく品質工学を適用して上手くいかなかったというケースが多いと思うので,今回はカスタム計画を適用した近代的な手法であることを丁寧に説明すれば,道は開けるかもしれません.

その際,最適計画の原理など説明できるといいですね.できれば,このブログで補足したいところです.残念ながら,日本語ではいい教科書は見当たらず,拙著でもここら辺の説明は一切省いてしまいました.実は,参考になりそうな和書があるので購入したらここで紹介します.

そういうわけで,周囲の理解が得られないならば,誤魔化して通常の実験を何回か繰り返せばいいんです.もちろん,実験計画はあらかじめ作成しておいて,それを小刻みに実施するというイメージです.

一方,マシンタイムや実験サンプルが確保できないとかのリソースについてのハンディキャップは切実です.私の指導した技術者は,量産装置が昼間は空かないので,装置を借用するために徹夜したくらいです.半導体分野ではウェハも高価なので,1ロット確保するのがせいぜいということも珍しくありません.もちろん,この状況でも小刻みに実験を繰り返すことで単位時間あたりのコストは下げることは可能ですが,時間がかかるという大きな代償を伴います.

リソースがなければ,この代償は受け入れるしかありませんが,実験を分割するならば,場の変化に注意することが必要になります.トータルの実験数が限られているので,場を繋ぐための実験を追加することも難しい.こんなときは,とにかく記録することです.どんな条件でも,計測できるあらゆることを記録します.もちろん,設計因子ではないので制御することはできないのですが,記録することは可能です.

これも実際の経験ですが,1年がかりで小刻みに実験したことがあります.半導体のラインと違い,屋内ではあるものの,ほぼ屋外と同じ環境(さすがに雨には濡れませんが)での実験となります.このとき,環境条件を細かく記録しておいたのですが,ある条件が特性に(思いがけず)影響が大きいことが判明しました.小刻みに実験して,しかもその条件を記録しておいたからこそ得られた情報です.

ハンディキャップもそれを受けて立つときのちょっとした工夫で利用することもできるという体験でした.

それでは.

統計的問題解決研究所

コメント