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なぜ日本でDOEは流行らないのか?

実験計画

昨年のSummitでは,なぜ日本でDOEが流行らないのかということを考えてみました.3つほど理由を挙げたわけですけど,この年末年始にもう一つ思いついたことがあります.

それは「失敗」を恥とする文化にあるのではないかという考えです.失敗の責任を厳しく問われ,その償いもすべきであるというのも日本では当たり前のことと受け止められています.要するに日本では,「失敗」は悪なのです.ところが,世界特に米国では状況が異なります.ヘンリー・フォードの「失敗はより賢くやり直すためのチャンスである.」という言葉が語っているように,失敗はチャンスなのです.

DOEとは言うなれば失敗を効率よく繰り返し,そこから如何に知見を取り出すかという技術のことですから,言い換えれば実験失敗法とでも呼ぶべきものです.16実験やれば,その中のほとんどは失敗の実験なわけです.このことも,失敗を悪と考える日本ではDOEが流行らない理由の一つではないでしょうか.

DOEは分析と並んでJMPメニューにあるくらい重要な技術として,世界規模では使われています.このことはJMPユーザーならわかるはずです.その技術を使わないという大きなハンディを背負って,今や後塵を拝する位置にあるいくつかの技術分野での開発をしなければならない状況です.

失敗を恥とする文化は,企業率やベンチャー投資額にも表れています.共にOECD諸国の中で最下位で,前者では2013年時点では米国の1/3程度,後者でもGDP比で1/20程度と圧倒的に異なります.これでは経済も社会も停滞するのは当たり前かもしれません.

失敗を悪と考え,その困難を回避する経路で成功に到達するのは実は大回りなんです.失敗を抜ければそこから成功が見えるかもしれません.失敗に対峙して,そこから学ぶことができてこそ,成功への近道なのだと考えています.

とはいえ,できるだけ効率よく失敗すべきであるのはもちろんです.効率とは時間や費用といったリソースと特性の改善により向上する収益の比です.前者を実験数,後者を最大満足度を指標とした実験効率という概念を定義して,今色々な計画で検証しています.カスタム計画にも色々とパラメータがあるので,どれが最適なのかという今まで経験的にしか支えられなかったことを数値で示せれば良いなと考えています.

それでは今年もよろしくお願いします.

統計的問題解決研究所

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