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SDGsと最適化設計

講演

金曜日のSummitをご覧いただいたかたもいるかもしれません.今年はQ&Aセッションをライブ配信するというので,この一週間は緊張して落ち着かない日が続いていました.ゆっくりとブログ更新する時間もなかったのですが,いつになくゆっくりとした日曜日の晩です.

Q&Aセッションではいくつかのご質問をいただきましてありがとうございました.その中で,最適化の条件について動画で「あまり良くない」と言っている箇所があるのですが,どうよくないのか?という質問がありました.

今回の発表は25分でエントリーしたものの,収録して気付いたのはとてもその時間には収まらないということ.もともとコミッティメンバーとして,隙間時間を埋める余興くらいの発表を考えていました.それが,プログラム構成の都合でトリになってしまったので時間延長も難しく,しかたなく,詳細はすべてすっ飛ばしてしまいました.

ご質問の最適化では,動画をご覧いただければわかるように,最大化と最小化の二つの条件で最適解を求めているわけですが,このような条件は二つの特性が最適化を綱引きして,解に安定性がないのです.そこで,通常は,片方は制約条件にして,一方を最大化または最小化して求解するのがベターです.

今回の発表は分かりやすさを優先したわけですが,実際の多目的最適化で複数の最大化,最小化を設定すると,失敗することが多いです.これを書いていいて思い出したのがSDGsです.ご存じの通り,なぜか今これに言及する日本企業が多いわけだけど.エス・デー・ジー・エスなんて発音していたりして,意味わかってんのかなという人も多いです.正しくは エス・デー・ジーズだよね.国連加盟国が,2016年から2030年の15年間で達成する目標ために掲げた目標(持続可能な開発目標)ということはご存じだと思うけど.なんとこれが17もあります.

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それぞれには,169のターゲットと,更にそのメトリックも定義されてます.その数はなんと232もあります.こちらのPDFで詳細がわかりますが,これを見て直ちに行動する気にはなれないですよね.どの一歩を踏み出そうか迷ってしまう.まさに良くない最適化でもこのような状況になってます.

成果指標はあれども,これらのほとんどが最大化や最小化ですから.例えば,17.8.1のインターネットを使用している個人の割合(Proportion of individuals using the Interne)もどの程度であればいいのかが明記されていないので,今の日本より割合が低くなったとしても,その代わり別のターゲットが達成できるのなら最適解としてはありになってしまう.

このような最適化は良くない見本です.そもそも,これらのターゲットには強いトレードオフがあるものも多いですし.なかなか最適な世界にはなりそうもありませんね.

それでは.

統計的問題解決研究所

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