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先を読む話

覚え書き

まだまだ暑い日が続いていますが,いかがお過ごしでしょうか.いつになったら涼しくなるかと東京の10日間天気を見れば,まだしばらくは最高気温が30度以上で最低気温も25度以上の日が続くようでがっかりですね.実は,今年の夏は冷夏になるのではないかと,東北の古老が言っていたのです.7月に台風が一つも発生しなかったりして異常とは言われていましたが,過去の経験では,こういう年は不作に見舞われるのだそうです.気象庁の長期予報では猛暑であるとなってましたから,どうなることかと期待してました.古の知識が現代の科学技術を凌ぐというようなドラマチックな展開もあり得ただけに,科学的な予測に軍配が上がって内心ほっとしています.

この暑さのせいか飴玉が売れないんだそうですね.暑さというよりも,コロナで通勤や通学の時間が減ったからなんだとかとも聞きます.確かに自宅で飴を舐めることはあまりないですね.どんな世の中になっても,食料品だけは不況に強いと思っていたのですが,ビールとかハムなども売れなくなっています.ビールなんかは自宅での消費は伸びているに違いないので,外食がシェアの多くを占めているんでしょうか.その他にも,一時期ほどではないにしても,化粧品が売れなくなったのはご存知だと思います.マスクと相性の悪い口紅だけは未だに売れないのだそうです.真夏にもマスクをする日が来るなどとは全く予想だにしていませんでした.先が見通せない時代になったんだということを強く感じています.

先を読むことの難しさを示すために,実験計画セミナーの冒頭で枕にしているエピソードがあります.このブログで,以前斎藤一の話をしましたが,同じ新撰組の近藤勇に言及するところから始めます.司馬遼太郎の『新撰組血風録』で有名な近藤勇ですが,講談では「今宵の虎徹は地に飢えている。」という台詞が有名です.因みに彼が持っていた虎徹は偽物だったそうですが,この虎徹というのは、刀鍛冶の名前です.戦国時代から江戸時代初期,ちょうど宮本武蔵と時代が重なります.この虎徹ですが,元々は甲冑鍛冶だったそうで,材料に中古の甲冑を混ぜるという独特の製法が特徴だったとあります.それゆえ「古鉄」と呼ばれ,虎徹の名に転じたとか.この製法故に,虎徹の鎧はとても頑丈だったのです.おそらく鉄の含有炭素量などが一般的な甲冑の材料と異なっていたのではないかと思われます.


甲冑鍛治として戦国の世に名を馳せた虎徹ですが,関ヶ原の戦いの後に豊臣勢も絶えたことから,50歳にして甲冑鍛治としての名声を捨て,刀鍛冶として出直すために江戸に移ります.天下太平の世の中では,武士の役割は戦士から政治へ変わっていくであろう,もはや甲冑は時代遅れのものとなり,これからは武士の精神的存在として刀のみが生き残っていくはず,そう考えたからです.凄い読みですね.確かに江戸時代を通じてそのようになって行ったのですから.今でこそ50歳の平均余命は30年以上ありますが,当時はおそらく20年くらいでしょうか.このコラムによれば,江戸時代の60歳の日本人の平均余命がほぼ14歳とあります. そのタイミングで心機一転して新しい仕事に挑んだという精神力には感服します.もちろんそれまでのキャリアは無駄にはなりませんでした.頑丈な甲冑を作るノウハウを刀に持ち込むことで,斬り合っても刃こぼれのない頑丈な刀であるとの名声は後の世に残っています.近藤勇が虎徹を欲しがったのも頷けます.


もう一つ,先を読む話を続けますと,コロナによるリモートワークの普及も後押しして,アップルの株価が,ついに時価総額で2兆ドル突破したというニュースがありました.

アップルの株価の変遷を知る面白いサイトがあります.What if I had bought Apple stock instead?という,もしもあの時Macを買わないで,その代わりにアップルの株を買っていたら今いくらになっているかがここに示されています.残念ながら,2012年4月からアップデートされていませんが,現在の株価は2012年の約5倍と考えていいでしょう.試しに,私が購入したPowerBook G3 300 (PDQ – Late 1998)は1998-09-01のリリースで当時$4999.0しました.(冒頭に当時の写真を載せましたが,まだ捨てずにしまってあります.)このサイトによれば,あのときそのお金でアップル株を買っていれば,今では$351365×5ですから,なんと1.9億円弱になります.計算間違いかもと思ったのですが,ほんとにそうなります.今新しいPowerBookが欲しいんですが,そのお金で600台近く買えます.このサイトを眺めるに,つくづく自分には先を読む能力がないとがっかりします.


コロナ時代にも,虎徹のように先を読む能力を持つものが頭一つ突き抜けるはずです.とはいえ,凡人には真似できるものでもありません.唯一の手段が,天気予報のようにデータをもとに科学的に予測することです.そのためのデータを取得する方法が実験計画なんだよ,というお話でセミナーを始めると,気のせいかもしれませんが,より熱心に話を聞いてくれるように感じてます.


なんだか雑なブログ記事になっていましましたが,暑い日が続いてやる気が失せている状況ですので大目に見てやってください.まだ暑い日が続きそうですので,皆様も体調管理にお気をつけくださいね.


それでは.

統計的問題解決研究所

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