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眠れない夜の過ごし方

覚え書き

今週は出張続きでホテルに何泊かしたのですが,どうも自分は枕が変わると寝られないたちのようで,ホテルでは毎度辛い思いをします.真夜中に目が覚めてしまい,その後は目が冴えて眠れなくなってしまうのです.一度安いホテルに泊まって,壁が薄いためか隣室のイビキで起こされたことがあります.その後はどうしても気になって眠れなくて,連泊だったものでホテルに聞いたところ,お隣さんは翌日もお泊まりだそうで,事情を話して部屋を変えてもらったことがあります.それ以外にも,酔客の通行人の話し声で起こされたり,たまたまなのでしょうけど,近くの交差点の歩道橋の撤去工事が夜通し行われていたり,過去には様々な要因で睡眠を妨げられてきました.

最近は比較的高いホテル(もちろん高級というわけではないですが)に泊まるようにしているので,その甲斐あってか入眠では問題ありません.ところが,やはり夜中に目が覚めてしまいます.自宅ではそういうこともないので,なぜだか原因は不明ですが.翌日の仕事に差し支えがあってはならないと思えば思うほど眠れなくなる.そこで最近では,諦めてTVなんかを見ているのですが,深夜というか早朝は番組も限られていて,TVショッピングの類がほとんどです.それもほとんどが健康食品やサプリメント,あるいは中高年女性向けの化粧品の類ですね.

今回もTVを眺めていたら,味の素の「グリナ」というサプリメントの通販番組をやっていました.「グリシン」というアミノ酸に睡眠の質を向上する効果があるということで,その成分が3000mg配合されているということです.睡眠に影響するアミノ酸といえば,緑茶に含まれるテアニンが有名で,体感としても緑茶には精神を落ち着かせる効果があると思っていましたが,グリシンは知らなかったです.エビとか貝類に含まれているようで,五訂食品成分表ではグリシン含有量(100g可食部中) はサザエが1700mgとダントツです.その他にも多くの食材に含まれていて,そもそも人間の体内でも合成されているるありふれたアミノ酸のようです.安全性も高く,甘味料としても機能するので調味料やサプリにも配合されていて,Amzonでも売ってました.1kgが1430円なので,一日3g摂取しても1年近く持つのでサプリとしては安い部類です.

グリシンの効果が周知のもので,Amazonでも廉価に売られているならば,「グリナ」の売りは何なのだろう?という疑問が湧いてきました.TVでタレントの話を聞いていてもラチがあかないので,検索して本家のサイトを訪ねてみます.ご本家のサイトによれば,特許(特許第4913410号)を保有していることが判明しました.そこで今後はGoogle Patentです.その特許「グリシンを含有する食品およびその用途」はすぐに見つかりました.グリシンの効用は周知なので,どのように特許を書いたのかに興味は移っています.

果たして,明細書を読むと「本発明者らは一定量以上のグリシンの摂取が従来知られていない、いくつかの新たな機能を発現し得ることを見出し」というところがポイントだということがわかりました.請求項の訂正がされていて,経緯を調べると,この特許に対して無効審判が請求されたようです.そこで,特許明細書の請求項1の「(前略)該単位中にグリシンを1食摂取量として0.5g以上含有する熟眠障害改善剤」とあるところを「(前略)該単位中にグリシンを有効成分として1食摂取量として0.5g以上含有する徐波睡眠への移行誘発剤」に訂正して,この請求を退けたということがわかりました.

知財部門のお手柄でした.このような,特許になるのかなという発明が特許になると強いんですよね.徐波睡眠への移行誘発剤というところがポイントです.熟睡するサプリでなくて,睡眠の質を改善するサプリとしての効果を強調してそれが認められたということでしょう.実は私は弁理士の資格を取ることを目指したことがあって,今でも本棚には「産業財産権四法対照」なんかがあります.自分で書いた特許でも,会社の知財担当の方や担当の弁理士さんには大変お世話になったことを思い出します.

確かにご本家のサイトにも「グリナ」を飲むと、すみやかに“深睡眠”がとれるようになります,ということが一番上に書かれています.お馴染みの検定の棒グラフとともに.嬉しいことにちゃんとリファレンスも示されています.こうなるとこの文献を読まずにはいられません.企業研究の論文は多くがopen access になっているのです,実際この文献も簡単に探せました.

このようにして,この夜も頭が冴えて寝れなくなってしまった次第です.その文献は今読んでいるところですので,何か面白いことがあれば来週その続きを.

今晩は急にやることができてしまったので,それではまた.

統計的問題解決研究所

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