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覚え書き

以前からお話ししているように,現在『JMP関連の書籍』を執筆中なのですが,ここにきて改めて編集の難しさを実感しています.『統計的問題解決入門』では執筆環境でインライン脚注を入れて,それをレンダリング(パブリッシュ)する際にページ脚注にしました.自分としては,注記が巻末や章末にあると何気に面倒なので嫌いだからです.とにかく本を読むときの流れを妨げられたくないので,巻末に注記がある場合は,読後にまとめて注記だけ読んだりしています.そうすると,この注記を参照している本文を逆に探したりするのですが,これがなかなか探せない.経験ありませんか.

というわけで前回はページ脚注にしたのですが,ところが,ページ脚注は校正や修正にとても手間がかかります.これが経験して初めてわかったことですが,後から脚注を増やしたり減らしたりするのはもちろん,修正するのさえ困難になってしまうのです.これに懲りたので,今回はできるだけ注記を少なくし,本文中に( )などで補足するという方針を立てました.数が少なければ巻末にまとめることで読者の手間は大幅に減ります.ということで,今の原稿には( )が多くなってしまっています.(あまり良くない日本語ではあるのは承知で.)

この直前に書いた書き方は,文部省準拠の公文書の書き方に倣っている表記(以下教科書表記)なのですが,新聞等をはじめ出版業界では次のような表記(以下新聞表記)が一般的となっています.

今の原稿には( )が多くなってしまっています(あまり良くない日本語ではあるのは承知で).

どちらが正しいというわけではなく,基本的に好みで書いていいのですが,後者の書き方は末文にしか( )が掛からないように読めてしまいます.そこで,その前にある複数の文章を( )で補足するような場合は,後者の表記法でも文部省表記で書きます.(あまり知られていないようですが.)出版社はこの表記法が慣例となっているようですが,読む立場からはこの表記法は好きになれません.教科書表記の方が長い文を「.」で区切ることで読みやすくなるだけでなく,次の文頭に( が来ることでその分の重要度は低い(読み飛ばしてもOK)という情報が得られるからです.

両者には他にも色々と違いはあって,例えば 教科書表記では「何々である.」のように句点は鉤括弧内に収めますが,新聞表記では「何々である」のように句点を打ちません.ややこしいのはこの場合でも文末に「 」が来れば「何々である」.と書くということです.

そもそも新聞や雑誌などがスペースの節約を優先してこの表記を採用したためにこの新聞表記が世間一般的に普及したと考えています.節約できるのはたった1文字ですが,これだけでレイアウトは楽になります.新聞表記は紙媒体の名残のような気がしています.この表記法は今の時代にマッチしているかは出版社はよく考えるべきですね.電子書籍が普及しないのも紙媒体に合わせた表記に固執するからで,もう少し電子媒体フレンドリーな表記を採用すべきです.本を読まない人が増えたのならば,それに合わせて出版文化も変えていく必要があります.

実は( )内の区点の位置などよりも大きいのが図の配置です.一般的なレイアウトでは,図に図番をつけて,本文中にそれを参照するように書くことで両者をリンクします.このことで,比較的自由に図を配置できるので,余白の少ない効率的なレイアウトがしやすいのです.学術論文などは何ページとスペースが決まっているので,この決まりは仕方ありません.事細かにレイアウトが定まっています.

とはいえ,本を読む人の立場に立って考えてみれば,図に番号を振るのは必須ではありません.読者が上から順に目を流せるように書けばいいのです.このことはプログラミングの文番号と似ています.少し前のBASICでは全ての文に行番号が必要でした.このことがいわゆるスパゲッティと呼ばれる可読性の低いプログラムに陥りやすいのはご存知の通りです.行番号がないプログラムは書き手にある程度の慣れと構造化プログラミングのスキルが必要ですが,可読性の高いプログラムが書けるため,近年のプログラム言語では行番号がある方がむしろ珍しいです.

JSLも行番号はないと思っている方が多くいますが,実は「環境設定」の「スクリプトエディター」に『行番号を表示する』というチェックボックスがあります.スクリプト初心者のうちはこのチェックを入れておいても良いかもしれません.

私の主張は,紙の書籍も電子出版を意識して文章を構造化すべきということです.前著も電子書籍版はあるのですが,いわゆるPDFをキンドルで見ルようなもので.あまりありがたみがありません.今度の書籍はできればちゃんと.mobiのフォーマットにしたいと考えて,執筆してきました.ところが,この原稿を紙の媒体に流し込むと色々問題が起こってしまいます.そこらへんをこの連休中に方を付けなければならないので,今回はこれにて.

それではまた.

統計的問題解決研究所

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