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Discovery Summit Tucson 2019

覚え書き

先週はDiscovery Summit Tokyo 2019 について書きましたが,そのひと月前には米国でDiscovery Summit Tucson 2019が開催されます.ご存知かもしれませんが,あちらのSummitは一週間に渡るかなり大掛かりなイベントです.開催期間はOct. 15-18となっていますが,10月14日からPre-Conferenceイベントとして,TrainingやTutorial,Certificationが開催されます.Tutorialはあまり日本では馴染みがありませんが,個別指導や少数指導を意味しますCertificationは資格認定試験なのでJMPにもそういうものがあるようです.私などは無資格で人に教えているので機会があれば受けてみたいですが,Summitの参加費が$1495とそれなりの価格な上に,これらは別料金のようです.

10月16日には2時間にわたるJohn Sallさんの基調講演があるので,この日が実質的なスタートでしょうか.この日は口頭発表が20件もあり,17,18日にもそれぞれ基調講演に加えて,それぞれ16件と8件の口頭発表があるので,口頭発表は合計44件にもなります.(部屋は4つなので聞けるのは最大11件ですが.)講演者の所属を見るとSAS社の方が目立ちますが,一般企業からも多くの発表があります.順不同で並べてみます.
有名なところではProcter & Gamble,化学メーカーというか塗料メーカーのPPG Industries,半導体関連ではIM Flash TechnologiesとIntelの発表があります.私は知らなかったのですが,Hitchiner Manufacturingという機会部品メーカーとUS Syntheticというダイヤモンドカッターを作っているメーカーやMedtronic,Abbott,Elanco Animal Healthのような医薬関連のメーカーの発表も目につきます.Medtronicはペースメーカーを作っている医療機器メーカーとして有名ですし,Abbottは製薬会社ですけれどヘマトロジー検査機器を製造しているいうことは今回初めて知りました.ヘマトロジーとは血液学のことで,赤血球とか白血球とかを検査する機器がヘマトロジー検査機器です.Elanco Animal Healthは動物用医薬品メーカーですが,あのイーライリリー社の一部門だということです.

日本法人もある大企業だけでなく,AdsurgoやSY64というコンサルティング会社からの発表もあり,あのサンディア国立研究所が名を連ねているという多彩な顔ぶれですね.SY64はProcter & Gambleを数年前に退社された個人コンサルタントの会社のようです.会社をリタイヤしてもJMPで仕事を続けることができるというのは素晴らしいですね.日本ではなかなか仕事として成り立ちません.

一昨年だったかUS Armyからの発表があって驚いたんですが,サンディア国立研究所からどんな発表があるのかと要旨を読んでみたら,JMP Text Explorerを使用する際に,特異値分解による潜在セマンティック分析を使用したとあります.前処理を工夫して分類精度と処理時間の短縮を実現したようです.その他にも注目する発表があって,マイクロンの100%子会社になった3D XPointで有名なIM Flash TechnologiesからはカスタムメイドのJMPアドインをGitに展開する自動システムについての紹介があります.内製のアドインを全社展開するというのはかなりJMPを活用していることが伺えます.内容もSVNからGitとあるので本格的です.SVNとはApache Subversionのことでバージョン管理システムのひとつで,Gitとはファイルの変更履歴の管理システムです.

もう1つ注目しているのがIntelの発表です.こちらも内製のJSLアプリケーションについての発表です.Intelは社内のJSL教育に力を入れていることでも有名で,今回の発表は,マスク検査で見つかった欠陥をウェハ検査で確認するために座標系を変換する処理をJSLを使ったようです.背景が全くわからないのですが,なぜJSLを使ったのかは謎です.何らかのメリットがあると思うのでぜひ聞いてみたいところです.

半導体関連の2社ともに発表内容が現実的というか実務的なので,かなり社内でのJMP普及が進んでいるみたいですね.データ分析とか実験計画などにJMPを使うのは当たり前になっているのでしょうか.

それでは今週はこれで.

統計的問題解決研究所

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