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キャビン フィーバー

覚え書き

今年の連休は特別な期間となっていますが,皆様いかがお過ごしでしょうか.先が見通せない辛さはすべての人に共通しているとは言え,職種によっては特に辛い環境にご苦労なさっていて,私も陰ながら消費行動を通じて支援をしております.でも.こういう時こそ,そのお店のというか店主の気構えや気心が良くわかりますね.メディアでも,一時的な注目を得るための刹那的な扇情的報道やデマを発信しているところと,ある程度ではあるものの信頼できる情報を発信することに努力しているところが面白いように炙り出されています.お店もメディアもニューノーマルの時代の淘汰が進みそうです.

正直なところなんですが,いろいろなデマも個人的には役に立っています.「統計リテラシー」のセミナーを時々実施しているので,この期間にネタを仕入れておこうと考えていて,毎日のように記録しています.先日の例では,累積グラフを見て「日本のグラフには、山が見えません。上がり続けている。 」などと言った政治家をネタとして登録しておきました.「こういう見方をされてしまうこともあるので,対数グラフや累積グラフを書くときは必ずタイトルにその旨を書くようにするのがマナーです.」などと続けるわけです.とはいえ,この類のことがあまりにも多く,浜の真砂のごとく尽きぬものがあって,最近ちょっと辟易としてきました.気分を変えたいところです.

私の場合,内向的な趣味もあるのでなんとか過ごせていますが,自宅にこもっていると,ストラスが貯まるなどと観光地へ出かける人々がいることが問題になっています.とはいえ,これは多くの人に見られる現象で,人間の性質としては万国共通のようです.特に雪国では昔からキャビン フィーバーと言われています.キャビンとは小屋のことですが,動詞として閉じ込めるという意味もあります.辞典でcabin feverを引くと ,「僻地や狭い空間で生活するときに生じる情緒不安定」などと訳されています.冬の山小屋では何ヶ月も外に出られず,人に会うこともないので,そこから情緒不安定になってしまう(人もいる)現象です.

2002年のアメリカ映画に『キャビン・フィーバー』というホラー映画がありました.ウィルス感染症の恐怖が山小屋という閉環境で展開されるという,今の時期に見るには適さない映画です.それよりもお勧めしたいキャビン フィーバーが,レニー ブロウの『Cabin Fever』というアルバムです.Googleで検索したら映画の『キャビン・フィーバー』しか上がってこないし,このアルバムをAmazonで検索しても,中古盤がえらい高値で売られてい流だけですが,幸いmp3でも購入できるし,Unlimitedに加入していればストリーミングでも聞けるようです.

ブロウは素晴らしいテクニックの持ち主として知られていたものの,当時のJazz奏者につきものの薬物中毒に陥っていました.そこで友人の山小屋で隔離生活をすることで克服したそうです.その生活の中で,ギターの練習がてら録音したテープが後に(1997年)アルバムとしてリリースされたものです.友人との会話(インタビュー)なども入っていたり,できるだけその時の状況が伝わるように,生活音のようなものが残されるように編集されているので,聞いていて自分も山小屋に籠もった気になリ,そのクリーンな音色でお気に入りの一枚です.彼の場合は薬物中毒の克服という目的があったとはいえ,なんと創造的なキャビン フィーバーだったのでしょうか.私もこのようにキャビン フィーバーを過ごせたらと思っています.

劇作家やタレントが自粛休業に支援を求めていたりして,困難な方が多いのはいうまでもないことです.とはいえ,シェークスピアのように,後日の糧となる創造的な仕事をするには千載一遇のチャンスだというのは彼らだけではありません.私たちJMPerもキャビン フィーバーにもめげず,クリエイティブな期間をお過ごそうではありませんか.

それではまた.

統計的問題解決研究所

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