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MCDAアドインの更新について

JMPではじめる統計的問題解決入門 書籍サポート

『JMPではじめる統計的問題解決入門』には,MCDAアドインという多目的最適化のためのJMPアドインを,SAS社のご協力を得て書籍購入者の特典としてダウンロードバンドルしています.最新版は,ファイル名「MCDA20190107.jmpaddin」のバージョン19017ですが,今お使いになっている方は1月31日でライセンスが切れるよ,というメッセージが表示されていることと思います.SAS社との取り決めで1年の期限付きでリリースしているので,お手数ですが,JMP15に対応した最新版を再度ダウンロードしていただきたいのですが,実はリリース直前に不具合が見つかりまして,本日の時点ではまだ最新版になっていません.修正・検証が完了しましたら,このブログでお知らせしますのでしばらくお待ちください.

最新版にアップロードする場合は,上書きされるので必要ありませんが,もし,もう使わないという場合は,表示メニューの「アドイン」から「アドインステータス」ウィンドウを開いて,「MCDA Addin」を選択して『登録解除』すればOKです.ですが,この本以上に価値がある,とても便利なアドインなのでぜひ使ってみてください.アドインはSAS社のページからダウンロードする必要があるのでダウンロードされた回数などがわかるのですが,書籍が第2刷になっていることを考慮すると,まだアドインをダウンロードされていない方もいらっしゃるようです.第五講は少し難易度が上がるので,これからという方や挫折したという方もいらっしゃるかもしれません.

ここでMCDAアドインの基本的な使い方を解説しておきます.『JMPではじめるデータサイエンス』の読者は,7日目のパラメータ設計の上位版のようなことをするのだと思ってください.サポートファイルの「MCDAデモ事例.jmp」を使います.データテーブルには既に「膜厚」と「欠陥数」という二つの予測式列があります.このようにまずは「モデルの当てはめ」で予測式を登録することがスタートです.その上で,アドインメニューから「MCDA」を実行すると,このようなウィンドウが出てくるはずです.

列の選択リストから予測式列を選び,『予測式』をクリックします.このとき,予測式は複数あっても構いません.複数の予測式を割り当てれば多目的最適化が実施できます.とりあえず,このように「膜厚」だけを割り当てて『OK』すれば,これだけで「膜厚」を最適化する設計ウィンドウが出てきます.「条件設定」のところに最適化条件を入れて,赤三角から「最適化」を実行すれば最適化が得られます.

これだけならば「満足度の最大化」を実行するのと変わりありませんが,このアドインには「制約」という条件があって,「最小」と「最大」とで制約区間を指定できることが特徴です.この範囲に特性値があれば満足度は同じなので,満足度関数は台形のようになります.この満足度関数の設定はJMPの標準機能には実装されていません.多目的最適化には,この条件設定は必須なのですが,なぜかJMPの標準機能にないのでスクリプトを組むしかないのですが,MCDAアドインを使った方が断然楽です.この使い方が基本形です.

このアドインの威力は,ロバスト最適化や動特性最適化を実施する際に発揮されます.先ほどの割り当てウィンドウで「位置L」を『ノイズ因子』に割り当てて「最適化」した結果がこちらです.

特性が「RNG」と「MID」という二つになっているのがおわかりでしょうか.「MID」は中間値で「RNG」はRangeのことです.「位置L」による「膜厚」の影響のロバスト最適化を,この二つの代表値で記述し両者の多目的最適化に持っていくのがポイントです.もちろんロバスト最適にするためには,この図のように「RNG」を0に制約すればいいのです.

一方,先ほどの割り当てウィンドウで「位置L」を『目的因子』に割り当てて「最適化」した結果がこちらです.

今度は特性が「0」と「M1」「M1^2」という三つになっています.これらは「膜厚」と「位置L」との回帰式の係数で,それぞれが切片,一次項,二次項に対応しています.ですから,例えば「M1」と「M1^2」を0に制約すれば「位置L」に対して「膜厚」が一定となる,すなわち膜が平坦になる動特性の設計ができます.

これらはMCDAアドインによる設計の基本です.いずれも技術的にはとても現実的かつ重要な機能ですが,JMPの標準機能では実施が困難です.もちろん,MCDAアドインがその威力を発揮できるのは,予測式にそれなりの情報が記述されている場合に限ります.ノイズ因子と設計因子との交互作用がそこになければロバスト設計は当然ながらできません.そのためには,周到に考察し準備された実験計画が必須なのです.そのためには田口メソッドで使うL18のような非効率的な計画でなく『JMPではじめる統計的問題解決入門』の第五講に書いたようなカスタム計画をうまく使うことをお勧めします.実践するには敷居が高いかもしれないので,疑問点あれば遠慮なく連絡ください.

それではまた.

統計的問題解決研究所

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