過去の投稿に画像リンク切れ多数ありご迷惑おかけしています.

Tad

覚え書き

台風とJMP

アドインの話の続きを書こうと思ったのですが,同じ話が続くのは避けて本日は台風の話でも.先日の台風は,合同台風警報センター(JTWC)ではかなり前から上陸はしないとの予報でしたが,気象庁の予報では数日前まで関東直撃でした.個人的にはJTWCの予報の方が当たるような気がしているのですが,まっすぐに関東地方に向かってくるのでどうなるかと興味深く観察していました.結局,JTWCの予報通りになり,何事もなかったように過ぎ去ったわけですが,犬吠埼に最接近した以降の後半の進路は定性的には気象庁の予報に近かったようにも思います.気象庁も予測精度については米軍に引けは取らないのでしょうけれど,台風の進路の長期予...
書籍サポート

パラメータ設計のアドイン(その2)

先週の続きです.パラメータ最適化のためのアドインについてそれぞれの違いなどを説明しようと思います.本日はHOPEアドインとSRPDアドインについて.もっとも端的に説明するならば,これらのアドインを使えばパラメータ設計のためのJMP操作が簡単になるということでしょうか.この図(クリックで拡大表示します)に示したように,HOPEアドインの設計画面にはJMPでは赤三角から「因子グリッドのリセット」で呼び出さなければならない各種設定がGUIに実装されています.これだけで便利なので,なぜJMP標準になっていないのか不思議なくらいです.見た目だけではなく,実はこの二つのアドインは今年の1月13日の記事で言...
書籍サポート

パラメータ設計のアドイン(その1)

パラメータ設計のアドインについて質問を受けました.私の知っている限りでは,本書のために開発したMCDAアドイン以外にも,HOPEアドインとSRPDアドインがあります.実はこの三つのアドインのベースは同じものなのですが,それぞれの機能と思想が違っています.それらの違いについてお話しする前に,本日はまずその1としてなぜアドインが必要なのかについて説明しておきます.JMPでは「満足度の最大化」でパラメータ設計ができるのはご存じでしょう.「プロファイル」とシームレスに繋がっているので使いやすい一方で,本格的なパラメータ設計には機能面で少々物足りないことも事実です.例えば,実験計画で応答の目標を設定する...
覚え書き

神の視点

コメントをいただいたことを受けて,本日は観察について書きます.暑いので短めにします.計画作成に先だってシステムについての考察は必須であり,そこでは観察が重要なのはいうまでもありません.とはいえ.観察には対象を注視するというニュアンスがあるので注意が必要です.以下の考察は,ボー・ロット(2017)『脳は「ものの見方」で進化する』サンマーク出版にインスパイアされています.この本によると.脳神経科学では,私たちの脳内で生まれる可能性のある「知覚」の適応度地形モデルという概念があるようです.ここ言う「知覚」は思考や概念,行動あるいは判断と読み替えても構いません.脳内で生まれる可能性のある「知覚」は無数...
覚え書き

あひる三題

それほど気温が高いというわけではないのですが,日中歩いていると体力を消耗する日々ですが皆様いかがお過ごしでしょうか.PCに向かうのも怠いので今週は暇ネタにしようと思案しつつ,ツイナビを眺めていたら,「あひるが見える人は病院へ」という見出しが目にとまりました.その写真には確かに二羽のあひるが見えます.これはまずい...実はわたしは鴨とかあひるとかの水鳥が好きで観察に出かけて写真を撮ったり,カービングで木工作品を作ったりしています.たまたま昔作った写真が手元にありましたので,始めた手の頃でまだ下手なのでお恥ずかしいのですがこんなのを作ってます.胴体に線が入っているのがお分かりと思いますが,ここで二...
書籍サポート

フォローアップセミナー

以前この場でお知らせしたと記憶しているのですが,「統計的問題解決入門」のフォローアップセミナーを開催します.PCを持参していただくセミナーなので,3人がけの机一つに最大2名とした都合で定員が限られています.現時点でJMPer’s Meetingを開催する部屋の半面を使う予定で,スクリーンが見にくい場所を除外すると机は18個くらいとのことなので,最大で36名といったところでしょうか.定員の都合があるので,JMPer’s Meetingのように一般募集はかけず,SASの営業さんから興味を持って頂けそうなお客さんに直接アナウンスしてもらいました.今回は製造業(おそらく電機系)に限定しましたが,タイミ...
覚え書き

ノンパラメトリック最適化

先週の続きです.トポロジー最適化をJMPで実施可能かという質問でした.一つの答えは寸法最適化に持ち込めばシンプルな事例では同等の最適化は可能,ということになります.寸法最適化にどうやって持ち込むかというとトポロジーを因子に持ち込むのです.即ち,考えられるトポロジーの候補を質的水準に設定します.例えば,二次元平面のレイアウトであれば,穴が一つ空いているレイアウトか二つ空いているレイアウトではトポロジーが異なるのでそれぞれを異なる水準として設定します.最適化することでどちらかのトポロジーが解として選択されるわけです.この手法には大きな問題があります.それぞれのトポロジーで,設定すべき設計因子が異な...
覚え書き

トポロジー最適化

質問を受けたので今日はその話をします.こういった最適化がJMPで出来ますか?という質問です.リンクを踏みたくないという方のためにどういうものか説明しますと,CAEで実現した最低限の体積で最大の強度が出るような構造を持った機械部品で有機的なメッシュで構成されている,と言えばお分かりでしょうか.この手の工業製品を最近よく見かけるようになりました.これは構造最適化手法の一つのトポロジー最適化によるものです.原理は単純で基本形状からスタートしてそれにボクセルを付け加えたり削除したりしてその度に特性(重量と強度)を計算します.材料の分布を最適化すると考えるとわかりやすいかもしれません.当然ながら有限要...
覚え書き

シンギュラリティなるもの

今の時期はいろいろな会社のカンファレンスが目白押しで,先日もIBMの統合イベントに参加してきました.去年まではクラウド系のイベントとWatson Summitという別のイベントを分散して開催していました.クラウドあってのWatsonで参加者も被るでしょうから自然な流れとはいえます.私自身はクラウドでシステムを構築するような仕事はしませんが,コンサルテーションでときどきこういった知識が必要になることもあります.前日にはデベロッパー向けのイベントも開催されて,私もその端くれとして参加しました.IBMはデベロッパーを育て,スタートアップ企業を支援する懐の深い会社と毎度のように感心します.今年はこれら...
覚え書き

なぜ系統的レビューに仮説検定は向かないのか?

先週の続きです.といっても,あの報告書には例の系統的レビューの詳細には触れられていないことが判明したので,続きは書けません.一般的に仮説検定の結果を系統的レビューに含めるのはやってはいけないとされています.もしも,ナラティブな研究をレビューしたのであったとしても,せいぜい表として提示するくらいにとどめておくべきで,それらを棒グラフ(即ち,量的な比例尺度の数値としての視覚化)にするのはやりすぎのような気もします.あの報告書からはそのへんがどうなのかは読めません.厚生労働省が背後についている研究会ですから,統計に詳しくない人々を黙らさせるために,あのような権威に裏打ちされたデータを提示したのかもし...
覚え書き

サンプルサイズ1で予測する先が読めていない一部の人々

先日,何かの拍子に「Stat Spotting」を検索したところ,日本語ページではここがトップに上がってきて驚愕しました.ジョエル・ベスト(2011)『あやしい統計フィールドガイド』,白楊社では,スタット・スポッティングとカタカナ表記であることが,本家を差し置いてしまった要因と思われますが,そもそも日本語では馴染みがない言葉だからということも理由の一つにあるのでしょう.このブログでもカテゴリーに登録したもののなかなか記事が書けないStat Spottingですが,実はネタはゴロゴロしてはいるのですが,それらを題材にして記事を書くのはなかなか難しい面があります.それはなぜかというと,基本的にクリ...
覚え書き

Tukeyのヒンジ

前回のコラムで指摘しましたように,指導要領は時代とともに変化しているので,会社側ではその変化に対応して教育内容を変えていく必要があります.今までも高校で統計は教えられてきたのですが,今回それがパワーアップするというので,具体的に何が変わるのかと「高等学校学習指導要領(案)」に目を通してみました.それによると,数学Iで「具体的な事象において仮説検定の考え方を理解すること。」,数学Bで「正規分布を用いた区間推定及び仮説検定の方法を理解すること。」 と書かれていますが,どの程度まで仮説検定に踏み込むのかは不明です.実際,「高等学校学習指導要領解説 数学 統計関係部分抜粋」の「確率分布と統計的な推測」...