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問2の解説

統計学のやさしい授業

毎週というわけにはいかないけど,『統計学のやさしい授業』の練習問題を基本的に週一のペースで解説してます.

問2は推定と予測との違いについて正しい記述を選ぶという問題.日本語は造語能力が高い言語です.それはひとえに言語の最小構成要素である漢字そのものに意味があるからだけど,このことが単語の意味の多様性をもたらします.受けての解釈の幅が許されているという,ある意味便利な言語だけど,学術用語としては混乱しやすく,よく言われるように日本語は科学の記述には向かない,と私も思います.

推定と予測,日本語ではお互いの意味する領域が広いので,干渉し合ってます.JMPでいうと,連結と結合のような関係.英語だと明確に意味するところが違う.縦列か並列か.推定と予測は,英語ではそれぞれestimationとpredictionです.意味するところが違う.

統計学では,推定とは母集団の性質がどのよなものかを知ることで,予測とは次の標本がどのようなものかを知ることです.知らないことを知るという点で両者は同じなので,推定と予測を合わせて推測なんて言葉もある.日本語の造語能力が発揮されている例だけど,これが初学者を混乱させる.推定と推測との違いが曖昧になってしまうのです.

少なくとも統計学を学ぶ際は,推測は推定と明確に違うものだと認識してください.というわけで解答はcです.引っかけはeかな.「データの違いによって使い分けるだけで,どちらも予想することである」というのは一見正しいけれど,データの違いによって使い分けるわけではありません.同じデータで推定も予測もできますので.

しばらくこんな感じで続けます.それでは.

統計的問題解決研究所

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