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怪しい図

統計学

節電しろってことなんですけど,ブログなんて書いてていいのか不安になります.

先週,統計学の教科書にはいろいろと怪しい図が載っていることについて書きました.実は,以前から思っていた変な図があって,検出力分析を説明する際に使われる図です.このような図をよく見かけますよね.

これはJMPの出力だから怪しくありません.μ=0という帰無仮説に対して,μ=0.3という対立仮説が設定されていて,それぞれの仮説の素での母集団の分布が示されてます.概念的な図ではなく,計算された分布なので,厳密に対立仮説の分布は非芯t分布になってます.青い分布が非対称なのはそのためです.

ところが,一般的な教科書には,これと似た概念の説明図が描かれていて,この図の対立仮説をμ>0,あるいはμ≠0としているものが圧倒的に多いです.対立仮説を一意に決定できなければ分布を図に描けるわけないですから,これは正しくないのです.少なくともミスリーディングを誘います.とはいえ,第二種の過誤を説明するにはよい図ではあるので,どこまで厳密に描くかが難しいところです.

少なくとも初心者向けの説明で非芯t分布など出せるわけないので,正しく非対称な分布を描くと,なぜと思う読者が出てくるはず.丁寧に文章で補えばいいのだけど,ページ数の制約もあるし,冗長な説明文は敬遠されるというのも事実.それじゃどうすればいいのかと考えています.

一つの結論が,二項分布で同じような絵を描くことです.これならば,検出力の概念は説明できるし,図も正確に描けます.なにしろ棒グラフですから.そして何よりも,一意な対立仮説を考えやすい.というように,いろいろと試行錯誤しています.

もう暫く省電力モードのブログが続きます.それでは.

統計的問題解決研究所

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