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統計学の教科書

統計学

今までもJMPを教える傍らで,統計を教えることがあったけど,来期は一つのセミナーとして実施することになりそうです.どういった内容にするのか,対象者の目的を踏まえて,今の実力とのギャップをいかにセミナーで埋めていくかについて考えています.

こう考えると,セミナーも問題解決なんだと気付きました.しかも時間的な制約があることも全く同じです.学校によって違うけど1コマ(90分x15回)として2コマ程度を統計学にあてていると思うので,大学生ならギャップを埋める時間はたっぷりあります.ところが,社会人にこの時間を充てるのは現実的には困難です.

しかも学生のレベルは揃っているはずだからやりやすいけど,社会人では文系学部卒業のかたも珍しくありません.数学をどの程度習得しているのか?という確認から始めなくてはなりません.教科書もあったほうがいいけど,今書いている本はかなりレベルを落としてしまったので,セミナーのテキストとしてはつかえないかな.タイミング的にリリースも間に合わないし.

今回,対象者のレベルを低く設定し,セミナー後はJMPを使ったデータサイエンスに無理なくすすめることをターゲットに据えます.テキストはあったほうがいいので,初心者向けの統計学の教科書を改めて調査しているのですが,かなりの本が統計学とデータ分析を混同しています.初心者向けの本でエクセルやPythonのようなツールを使っているものは,そのほとんどがデータ分析の本です.

いくつか例外はあって,「Pythonで学ぶ統計学の教科書」には第1部と第3部がPythonを使った統計学の説明になってます.だけど,惜しむらくは後半の4部以降の前座という扱いで,正直なところ説明が雑で,Pythonの説明にも紙面を取り過ぎています.どちらかと言うと,統計学を題材にしてPythonを学ぶ本といったほうが適切かもしれません.統計学を理解するためにPython初心者が一からコードを学ぶのは時間の制約もあって無理です..

もっとシンプルに統計学のエッセンスを学ぶ教科書は英語ならたくさんあるんだけど,あちらのテキストは大判で800ページとか普通ですから,ある意味冗長かもしれない.JMPのマニュアルを読んでいてもわかるけど,こういうのがアメリカ人の好みでもあるんだけど.

それと初心者向けの本では例題が圧倒的に面白くないのも不満です.例えば分散分析のところで,e-Statの「賃金構造基本統計調査」のデータで自分の収入はどの要素の影響が大きいのかを数値で知るなんて実習があると面白い.データ分析を教えるわけではないので,あくまでもどのような,原理に基づいて自分の収入がどのように決定されているのか,という統計の使い方を学べると面白いと思ってます.ということで,今週はその例題作成に取り掛かります.このブログでも紹介しますね.

それでは.

統計的問題解決研究所

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