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ウイルスのパレートフロント

覚え書き

各地のコロナ感染者数が急増してます.デルタ株の感染力は従来の株の3倍弱というから,おそらくその蔓延が主要因だと思う.今までと同じようにしていては駄目なのに,今までと同じこともできなくなってきてたからね.

CDCの報告のp15のグラフによれば,デルタ株の感染力は,1人が何人に感染させるかという,基本再生産量で5人から9人くらいだそうです.Chickenpoxは8人なので,同程度になってます.因みに,あちらでは水疱瘡のことをチキンポックスと呼びます.アメリカ滞在中にこの言葉は何度か聞きましたが,当時は子供が鶏からうつされる感染症だからかと勘違いしてました.語源は,特徴的な発疹が羽を毟った鶏の肌に似ているからだそうな.

空気感染,飛沫感染,接触感染ともにあるから水疱瘡の感染力は強いと言われているけど,水疱瘡に免疫のある人は多し,循環器系には異常がないから咳が出る疾病でもない.これが幸いしてか,めったにうつる感染症でもないように思う.それと水疱瘡は致死率は0になってます.大人になってから,帯状疱疹として発病するとそれは大ごとになるけど,子供のうちは近所のだれだれちゃんが水疱瘡になったからうつしてもらえ,という感覚でした.少なくとも昔は.

ワクチンもあるけど,1回接種では8割くらいしか予防効果ないので2回接種が推奨されてるのもコロナと同じですね.確か水疱瘡はヘルペス属のウイルスだから,良く効く抗ウイルス薬もあったはず.とはいえ,水疱瘡のウイルスは一生体内に,しかも神経系の奥深くに潜んで,宿主の免疫が弱ると暴れ出す機会を狙っているというから,ある意味たちは悪いですけどね.

ところで,このCDCの報告書の図を見ていると,致死率と感染力との二軸平面のパレートフロントが浮かんできませんか?この図のオリジナルはN.Y.Timesですが,この図に更に青い点線を書き加えてみました.

致死率の高いグループには鳥インフルエンザやMERS,エボラなどが,感染性の高いウイルスはやはり麻疹がずば抜けてます.エレベータなどの密室で患者と一緒になったら一発で感染する可能性が高いくらいですから.

この図を見ると,コロナも進化しているのですね.様々な変異を繰り返すことで,コロナも必死なのかもなと思いました.とはいえ,よく考えてみると,ウイルスにとって致死率を上げることは,生存戦略としてはむしろ下手です.だから,願わくば自然淘汰的には右下方向に進んでいって欲しいのですが.ここまで書いて,この青点線をパレートフロントと呼ぶべきではないような気もしてきました.

いずれにしても,人為的なウイルスでもなければ,変異株といえどもこの領域外には出ないはず,それに何よりも私たち人間は,彼らのパレードフロント?を押し戻そうと努力してます.マスクをして実質的な感染率を下げ,ワクチンを接種して実質的な致死率を下げようと懸命になっている.

どこまでこの領域を小さくできるか,それには一人一人の努力も必要なんだと改めて思いました.

それではまた.

統計的問題解決研究所

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