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実験計画と戦略

実験計画

実験計画には興味があるんだけど,いざ実施するともなると腰が引ける人も多いようです.それには色々な理由があって,分散分析や交絡といった必要な統計学の知識に怖気をなしたり,一時的にしても一極集中的なリソースの増加に無理と感じる人もいるようです.

こちらとしても,JMPを使えば統計学は知らなくても実験計画を始めることは可能だとか,一応は説得します.リソースについては,説得に困ることもあります.実験計画を魔法の手法と宣伝する情報がネットにはあって,それを読んで都合よく思い込んでる人がいて,いやいや実際にはこれくらいの実験数が必要ですよと試算してみせると失望してしまうというケース.そういう人には,兵站の基本として戦力の逐次投入は下手であることを日本軍の太平洋戦争をひいてお話しするとわかってくれことが多いような.

いろいろなケースがある中でも,一番大変だったのは,過去の成功体験の影響が強い人を説得する場合だった.過去に実験計画でない(1因子実験以前の)やり方で成功した人の場合,それがたまたまということが見えていないのです.そういう人には,問題解決の手法の階層性についてお話しします.具体的には戦略と戦術という二つの階層,さらにその下には戦闘なんてものもあります.戦略とは問題解決の方向性を定めること.そして戦術はその戦略を現場で実現することです.

実験計画の戦略を練るなんて拙著にも書いたけど,問題解決の文脈では実験計画という戦略の下に具体的な計画作成とかの戦術があります.だから,正確には実験計画の戦術を練るというべき.特にカスタム計画なんて,現場の知識を元にすることも戦術に相応しい.実験計画のデータをもとにして問題を解決しようと定めた戦略に基づいて,戦術としての実際に実験計画を実施するんです.

実験計画でなくOFATを戦略と定めた場合であっても,戦術をうまくやれば成功することもあります.この体験が本当はまずい戦略の評価を誤らせてしまうことが問題.大きい会社は層が厚いから,こういうケースは少なからずあって,伝説になっていたりもする.

こういう人には,それはたまたまだったと言って通じることは少ないですね.むしろ実験計画以外の戦術で手痛い失敗を経験した方が,幸運だったもしれない.例えれば,そうですね.パールハーバーかな.アメリカと戦争するという誤った戦略を,初っ端の戦術の成功がサポートしてしまった.実際にはアメリカには奇襲攻撃は読まれていたとかの話もあるけど.

ミッドウぇー海戦とかパールハーバーとか,拙著でもアメリカのパイロットに扮したJMPくんが零戦をきっと見上げているイラストを描いてもらったけど,決してミリオタではないです.でも,最小のリソースで最大の成果を得ることという点では,戦争も問題解決も同じですよね.そして実験計画こそ問題解決の最高の戦術なんです.

それではまた.

統計的問題解決研究所

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