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JMP15で何が変わったか? その1

覚え書き

JMP 15についての情報が公式にSAS Japanのサイトから発表されています.実験計画や多変量管理図あるいはJSLなど,やや専門的な機能やJMP Proでは興味深い機能が実装されましたが,普通のデータ分析で使うような機能では何が変わったのか.本日はそれを検証して,完全に個人的なABC評価(A:嬉しい,B:まあまあ,C:元に戻して)をつけてみたいと思います.JMP15 Trialでの評価ということと,まだ時間をかけて吟味はしていないので,現時点での一次評価かつ個人的な独断ということでご了承ください.

公式ページの「JMP® 15およびJMP® Pro 15の新機能」の一番下に新機能の概要がリストアップされているので,それを辿っていきます.今回は,リストの中の「データの読み込み、データテーブル、クリーニング、データの可視化など」のみに注目します.おそらく,ほとんどの人がこの範囲でJMPを使うでしょう.

1.各コラムの上にヒストグラムを表示する新しい列見出し
リストの先頭にあるのは「情報デコレーション」と名付けられたテーブルの列名にヒストグラムが表示される機能です.単なるサムネールではなく,しっかりダイナミックリンクされているので,「一変量の分布」のヒストグラムのように使えます.とはいえ,以前このブログでも紹介したように,レイアウトを工夫して全ての変数のヒストグラムを一望することはできません.やはり分析は「一変量の分布」からはじめるという方針は揺らがないので,必要か否かといえば邪魔ではないならあってもいいかな程度に現時点では感じてます.名義尺度の変数でヒストグラムをフィルタリングのボタンのように使うのは便利といえば便利かもしれません.正直なところ日本語ではデコレーションは装飾=必要ではないもの,というニュアンスが強いので「情報デコレーション」という名前は好きになれません.とはいえ,JMP 15で表面的の改良ではもっとも目立つ機能であるのは間違いありません.個人的には評価はB+です.

2.インポートウィザードによる、XML、JSON、PDF形式ファイルの読み込み
JSONファイルの読み込みは,私が以前携わっていたWEBアプリケーション開発では役に立ったことと思いますが,一般の技術分野ではあまり馴染みないのではないでしょうか.一方,PDFの読み込みは何気に嬉しいです.というのも,コンサルテーションする際に,PPTファイルでデータをもらうことが少なくありません.エクセル経由でも問題ないのですが,PPTをPDFに変換してもJMPにデータを持ってこれます.サンプルデータでテストしてみましたが,このように問題なくJMPテーブルになります.

技術データではPDFで保存されているデータはあまり多くはないように思いますが,PDF文献のデータがそのままJMPに取り込めるというのは私のようにStat Spottingを趣味とするものには大変便利です.早速試してみましたが,残念ながら日本語は文字化けします.何かしら対処法があるかもしれませんがまだ未調査です.英語の文献では冒頭の図に示したようにうまくいきました.赤三角からも色々と細かい設定が可能なようで,よく作り込んでいると感じました.あまり使わない機能かもしれませんが,個人的には嬉しい改良なので,評価はAとします.

3.グラフビルダーの機能向上
色々と細かく改良項目が書かれていますが,少なくとも私の使い方ではあまり影響ないかなという感じです.時間がないので,来週のブログで細かいことは紹介しようと思いますが,ざっとみた感じでは評価はBかな?

4.再コード化の改善
今までは変数の値に対してのみ変換可能でしたが,列メニューのユーティリティに「列名の再コード化」が実装されました.列名の修正が簡単になるので,これは便利な改良ですね.設定画面の右下には,再コード化の履歴が表示されます.矢印ボタンでどの状態にでも戻ることができるのですが,JMP14でもこの機能はあります.知ってました?

「正規表現を使わずに文字列全体を置き換えるための新しいオプション」というのは赤三角に「詳細」というサブメニューができ,そこに「セグメントの抽出」などのコマンドが実装されたことを意味してます.テキストデータをメインに扱うのであれば,確かにメタ文字を使った正規表現を覚えるよりは楽ですが,私にはあまり必要ないですね.更に,「別のテーブルからのマッピング適用機能」というのは,同じ赤三角の「詳細」に「テーブルにあるマッピングの適用」というコマンドを指します.JMP14でも「スクリプト>データテーブルから読み込み」で,別のテーブルにスクリプトとして保存した再コード化の規則をインポートできます.

その他,変数名のタイトルバーがなくなるというレイアウト変更や個々の度数行を選択すると,データテーブルで対応したセルが選択されるという使い勝手の改良は確認できました.再コード化の今回の改良は,JMPらしくて良いと思いますが,個人的に使う機会はあまりないので評価はB+とします.

5.新しい値の順序に関する列プロパティ(値の表示順序)により、柔軟でカスタマイズ可能な値の順序の設定が可能。
列プロパティの「値の順序」が「値の表示順序」に名称が変わりました.「カスタム順序」がデフォルトでチェックされてますが,これはJMP14の「値の順序」そのものです.このチェックを外すと「ソート順序」で並び替えができるようになっています.名義尺度でのグラフの並びに手間取っていたので,ありがたい改良ですが,あまり使わないのでこれもB+とします.

続きはグラフビルダーの改良点の紹介とともに続きはまた来週ということで.

それではまた.

統計的問題解決研究所

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