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飛球シミュレータ

JMP実験計画

飛球シミュレータというJMPアドインがあります.見た目はこんなやつです.

ボール投げをシミュレーションするアドインですが,球投げの各種設定やボールの直径や重さなどを指定して,着地した距離とそれにかかった時間を記録できます.統計教育,得に実験計画の教育に使う目的でSAS Japanが開発しました.ボール投げといっても,二次関数を使った単純なものではなくて,物理的なシミュレーションもしているようです.

『JMPで始める統計的問題解決』では,その開発初期のバージョンを使わせて頂きました.いろんな分野の方が見ても違和感ないように配慮したかったので,少しでも実験計画の臨場感を出したかったから使ってみました.今だにこのアドインに興味をお持ちの方から問い合わせが来ます.執筆当時はいずれ公開されるだろうと思っていたのですが,残念ながら,現時点では飛球シミュレータは一般公開されていません.

実は,飛球シミュレータの各種設定,即ち因子は固定されたものではなくて,教育コンテンツ毎にカスタマイズする必要があります.最近になって,このカスタマイズされた飛球シミュレータアドインを作成するアドインが完成しました.このアドイン(FBSアドインジェネレータ)を使えば,想定する教育コンテンツに必要な飛球シミュレータアドインが作成できます.FBSは飛球マシン( Fly Ball Simulator)の略です.

FBSアドインジェネレータは,産業分野の教育担当者限定で配布されるようになり,先日,その説明会が開催されました.飛球シミュレータを使った教育コンテンツの共有するなど,会社を超えたコミュニティに育っていけばいいなと思っています.産業分野の教育担当者以外の方であれば,飛球シミュレータを使ったセミナーに参加すれば配布されるので,試しに使うことはできます.自分の会社で開催されるのか不明であれば,担当の方に問い合わせてみてください.私も,飛球シミュレータを使った実験計画のセミナーを開催することがありますので,機会があれば参加していただければと思います.

何を学ぶかというコンテンツを伴わなければ.本来意味のないアドインですけど,デモデータの作成にも使えます.来月のSUMMITの発表でも飛球シミュレータを使いました.飛球マシンであれば,誰でもメカニズムが理解できるので都合がいいのです.この点では,紙ヘリコプターは意外とメカニズムが難しいのです.なぜ紙ヘリコプターが回転しながら落下するのか知っていますか?羽のある側と内側とで圧力差ができて,それが回転力を生むのです.だからメカニズムを理解するには,流体力学の素養が必要です.

とはいえ,飛球シミュレータにも欠点はあって,それは基本的に単特性であることです.時間も入れた二特性の最適化も実施可能ですが,この二つの特性は単調増加の関係にあるので,多目的最適化の醍醐味は味わえません.そこで色々と工夫をして,満足のいく教育コンテンツを作成しています.来年のSUMMITでは,いくつかの成果を発表したいなと考えています.

それでは今日はこれにて.

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