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ステークホルダー

JMPではじめる統計的問題解決入門

ブログでは世間のことはとやかく言わないことに決めてるので,何かと世間を騒がせているオリンピックについてもスルーするつもりだったけど,こんな記事を読んだので,一言.

会場での酒類の販売を,一時は認める動きがあったりしましたけど,この際,五輪大臣がステークホルダーの存在を念頭に検討する,などと話したということらしいです.ステークホルダーとは,ご存知のとおり教科書的には利害関係者のことです.この大臣は東京大学経済学部経営学科卒業とのことなので当然知っていたはずです.

とはいえ,この大臣の頭の中には,ステークホルダー=当事者という認識しかなかったように見受けられます.最近は,株主総会でステークホルダーの利益確保を云々,などと言われることも多いからこのことを批判つもりはないです.この場合は,せいぜい顧客と株主のことで,せいぜい社員や取引先が含まれるに過ぎないですね.

とはいえ,ステークホルダーを問えば,その人が何を見て何を考えているのかわかります.オリンピックのステークホルダーならば,国民それも酒飲みでない人々のことも含めて然るべきだから,この大臣の発言に違和感を持った人も多いだろう.これだけ国民の間で賛否が分かれるイベントも珍しいから,今後のために,誰もが納得できる決着をつける手法を磨いていくことが大切だし,政治の腕の見せ所とは思うけど,あまり期待はできなさそうですね.

実は,語源的にはステークは掛け金のことで,ステークホルダーは馬主を意味していたから,当事者意識のステークホルダーも間違いではないです.『統計的問題解決入門』でも,ステークホルダーを利害関係者として説明したけど,これには補足が必要でした.システムの構造を考察するのに,ステークホルダーを考えようと本書で言ってますが,利害関係者では当てはまらないホルダーもいるのです.どちらかというと当事者と捉えた方が,まだわかりやすいかもしれない.

パラメータ設計では,対象(製品など)を中心に据えて,それとの関わりのある人を想定するとわかりやすいです.その中には,設計者とユーザーがいるのはもちろん,部材を供給するメーカーなども含まれるのですが,忘れてならないのが,神の存在です.スピリチュアルなことを言うつもりはなくて,偶然の作用とでも考えて下さい.神は,利害には全く興味はないけど,その製品を取り巻く状況を掻き乱す存在です.そして,その他のステークホルダーの利害と大きく関係しています.その意味で,パラメーター設計に神の存在は無視できません.

この場合の神はギリシア神話の神のイメージです.実験計画は神をいかに畏れ,その気まぐれからいかに逃れるかの人間の知恵なのです.神の存在を意識することで,その影響を受けないように実験環境を工夫したり,あるいは観測値を平均してその影響を低減したりといった手段が考えられます.

観測値の平均処理でデータのばらつきを低減したのは,あのニュートンが最初だったとどこかで聞いたことがあります.そしてそれ以前は,ばらつきは神の為せる業だと考えられていたとか.ニュートンは,神の存在を否定する合理主義者だったとも言われますが,私には神を畏れていたのかもしれないなと思ってます.

この週末は,実はエアコンの取り付け工事で色々と忙しかったので,今日はこんなところでやめます.高台に住んでいることもあって,例年はエアコンなし(寝室にはあります)でも過ごせるんだけど,オンラインで話したりする機会が増えて,窓を締め切りにする必要があるので仕方なく設置しました.コロナで換気機能が付いている機種が売れているそうだけど,窓から入ってくる風がなくなってしまうのは寂しいです.

それではまた.

統計的問題解決研究所

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