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Googleの予測はあたるか?

覚え書き

またコロナのことを書くことになりそうだけど,本当はブログのネタとしては避けようと思ってます.だけど,東京で感染者1000人弱なんて報道されると,どうも,そこから始めるしかない状況だよね.コロナ疲れってSNS疲れと似ていて,自分で作り出しているのだなと思う.1000人が5000人になろうとも,やるべきことは変わらないから連日の感染者何名という報道にはあまり意味はない.行動を変えることはない情報には価値はないのです.

だけど,市中感染状況を陽性率として把握しておくと,来年の春からワクチン接種が始まったとき,それを受けるか否かの意思決定には重要な情報にはなるとは思います.ワクチン接種の強制はできないから,自分で判断するしかないんです.仮に有効率95%のワクチンを接種すれば,1000人の感染者のうち950人は感染しないでも済むということだから,もちろんそのことには価値がある.だけどワクチンには副作用がともなうので,そのリスクも勘案する必要しなくては.既に比較的重度なアレルギー反応が出た人も報告されている.

有効率95%という数字は,FDAのレポートのtable6を見たからなんだけど,コロナって型が変わりやすいから,今後この95%という数字は下がっていくと思う.もちろん,副作用も観察されていて,このレポートのtable17(55歳以下)とtable18(55歳を超える)にまとめられてる.重篤な症状は少ないけれどやはりあって,p40以降を読むと,ワクチン接種群で0.6%,プラセボを接種した対照群で0.5%のオブザーバーにSAEが見られたそう.SAEっていうのは,serious adverse eventの略で重篤な有害事象のこと.このデータをどう見るかは悩ましいけど,有意差があるとは思えない.

プラセボ効果の反対,即ち望まない有害作用が現われるのをノセボ効果 (nocebo effect) と呼ぶけど,おそらく0.6%の中にはそういう人もいるんだろうな.明らかなアナフィラキシーで失神した人なんてのもいるらしいから,間違いなく副作用はあるし,しかも今回は長期的な臨床試験を経ていないから,不気味なところではある.

個人的には,陽性率が小さい日本の今の段階では,特に感染者が多い20台の人のグループには,ワクチン接種は益は少なく害は大きいのではないかなと思います.もちろん社会全体としては利益はあるから,それと個人のリスクをどう折り合っていくのかが難しいよね.まだ,数か月の猶予はあるから,意思決定ができるだけのデータが国内外でどんどんたまっていくことを期待してます.そのとき頼りになるのは自分の判断ですよ.政府のいうとおりにしてると,GOTOワクチンでしょうから.

個人の意思決定が難しいとき,昨今ではAIに頼ろうという風潮で,コロナでもGoogle AIのコロナ予測が脚光を浴びてます.この予測が最初に発されたときは衝撃的だった.

GoogleAI予想「日本は1ヶ月以内に540人死亡、5万人が感染」

この記事の書かれた11月17日時点では,日本国内の新型コロナの累積の感染者数は12万人(死者は1883人)で,それから4週間で540人が亡くなるって増加率としてはすごい.それで,実際に4週間たって,実測値と比較したのが最近のこの記事.

日本のコロナ拡大AI予測上回る グーグル見通しより14%

根拠のないマスコミの「2週間後のなんとか」報道よりも信頼できるかなくらいには思ってたけど,その予想を上回ってしまうとは思わなかった.GoogleがCSVでもデータを提供してくれているから,JMPでも描いてみました.Googleは棒グラフを表示してるんだけど,コロナもこれだけ長期間になると棒グラフはもはや適してないから折れ線グラフにしました.今,来期のセミナーコンテンツを作成中なので,JMPの時系列予測のデモデータになるかを検討したいと思ってます.

根拠のないマスコミの「2週間後のなんとか」報道よりも信頼できるかなくらいには思ってたけど,その予想を上回ってしまうとは正直思わなかった.でも,これって予測が当たった状況といえるのか?信頼性上下限もちゃんと計算されていたから検証可能なはずだけど,この記事には残念ながら掲載されてないです.

因みに,東京都の死者数についての,今週の予測はこうなってます.

だけど,実は11月中旬の時点の予測では,12月末から減少に転じ1月はほぼ0となることが予測されていたのです.証拠は残さなかったけど,確かにそうなってました.その後,GOTOが延期になるなど,良い材料が出てきたけど,予測には反映されてないのが不思議です.いずれにしても,いろいろな状況を取り入れてすぎて,予測としてはかなり不安定になっているのではないかな.こういう不安定な予測には,振り回されるだけなので少し危険かなと思う.

それに,Googleのシミュレーション結果,流行のAIというおまけもついて,その影響力は大きいから,この結果が社会の行動規範に影響を与えるかもしれない.この結果からは,希望はみえないからね.蓋を開ければ,Googleの予測は大外れということになればいいなと思ってる.

もう少し詳しく検証しようと思ってるんだけど,それは年末年始のお楽しみにとっておきます.

それでは.

P.S. これを書いてから,こんな記事を見つけました.文春オンライン「東京とNYでは大違い…? コロナワクチンの“本当の効果”をシミュレーションしてみた」 接種率を50%,SAEは10万人に1人と見積もっているよう.やはり,メリットとデメリットを秤にかけてワクチン接種は慎重に考えようという主張で,私も同感です.

統計的問題解決研究所

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