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ステレオタイプとプロトタイプ

統計リテラシー

うちはAIにして業績が倍になったという人がいたので,AIで何をしたのか聞いたところ,今まで単回帰で予測していた売れ筋予測を重回帰にしたという実際にあった話.以前,話ししたかもしれないけど, AIという言葉がメディアに出るたびに思い出してしまう.AIという言葉の中身を知らないで使う人やメディアが多すぎてうんざりするけど,知っている人でも,儲かるから意識して使っている節がある.

日本人は,AIのようなパワーワードに弱いのでは?などと常々考えてたけど,AIの背後に人間性を感じるのは,日本人に多いのだそうです.それはおそらく,古くは鉄人28号とかジャイアントロボとか,人間性を持ったロボットに親しんだ人が多いからかもしれない.この「AI=ドラえもん」という ステレオタイプが,正しくAIを理解することの障壁になっているように思います.

ステレオタイプは,他にも色々あって,例えば,アイドルのステレオタイプは,その人の年齢によって,吉永小百合だったり,キャンディーズだったり,AKBだったりするわけだけど,これがアイドルを議論するときの障害になってしまう.ステレオタイプがそのものの本質を隠してしまうのです.

アイドルならばまだいいけれど,問題解決の定義では操作的定義が求められるので,ステレオタイプを排除するようの指導してます.操作的定義では,具体的な手順で概念を説明します.例えば,「知能指数とは,知能テストの得点である.」という記述は操作的定義です.

対象となる特性を操作的定義するには,何をどのようにして計測された数値なのかを考えるわけだけど,そのときのポイントはその対象のプロトタイプを考えること.例えば,アイドルならば「特定の集団の憧れの対象」といったところでしょうか.

歩留まりを操作的定義するならば,歩留まりのプロトタイプを考えます.そうすると,それは材料の投入量という入力から理論的にもとまる出力(製品の生産量)の比率のこと.だから,何としても入出力の理論を押さえることが必須で,その上で何をどう計測するかという操作的定義を確立します.歩留まりを既存のスペックで良否に分けただけでは,うまくいかないことも多い.もっと具体的な例を挙げたいんだけど,書くとえらく長くなりそうなので,また今度.

さて,AIのプロトタイプはコンピュータのアルゴリズムです.一時期(今でもかな)「AIに仕事を奪われる」とか「10年後になくなる職業」とかでマスコミが人々の危機感を煽っていたけど,そうするにアルゴリズムにできるようなことをやっているだけならば,コンピュータに変えた方がいいというだけのことですよね.

マスコミには,「人間を相手にした仕事は今後も残る」という論調があるけど,プロトタイプを考えれば,資格になっている仕事とか,マニュアル通りにやればできる仕事がなくなっていくのではないかな.逆にいうと,マニュアル通りにできない仕事を今後は意識していく必要がある.少し前にそう感じて,マニュアル通りに仕事するのをやめて,現場の状況からの判断を優先してました.最近,ようやくそれが身についてきたと感じてます.

ということで,前置きが長くなったけど,今週読んだニュースがこれ.

セリア、100均でも高収益 アルゴリズムで売れ筋解析

AIでなくてアルゴリズムと書いてあるのが,好感がもてます.セリアの社長は統計を知って人だから,おそらく意識してAIという言葉を使わずに広報に回したのかもしれない.記者がアルゴリズムという言葉を理解していれば「AIで売れ筋解析」というタイトルに変えていたようにも思うけど.

それでは.

統計的問題解決研究所

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