僕とサブローちゃんが統計の本になりました!

The Last Campfire・絵本のように優しく怖く美しく

The Last Campfire・絵本のように優しく怖く美しく

1000円くらいだし、絵や風景の色遣いが好きで深く考えずに購入しましたが、いつまでも心に残る傑作でした。大人の観賞にも耐え、大人だからこそ考えさせられることもある一方で、小さなお子さんと一緒にあれこれ話しながら情操教育を兼ねて遊ぶにもピッタリだと思いました。

どんなゲーム?

ジャンルとしてはパズルに重きを置いたアクションRPGでしょうか。ゼルダの謎解きが好きな人は、きっと楽しめます。言わば、戦闘のないゼルダのような感じです。ゼルダといっても最新作ブレス・オブ・ザ・ワイルドではなく、古き良きゼルダです。戦闘がないことも、小さいお子さん向けにいいなと思いました。大人にとってもウザイ雑魚処理に煩わされず、ゆっくりと雰囲気に浸ることができます。

どんな雰囲気?

上質な絵本のようです。ここで考えてみてください。「絵本のように見える」ゲーム、結構ありますよね。でも「絵本のように進行する」ゲームって、実はあまり無いのでは?

このゲームでは、声優さんはいますが、各キャラのセリフを喋るのではなく、ナレーターです。新しいエリアに出て目の前に広がる光景、自分が取った行動などが客観的な第三者の視点から語られます。

それはまるで〜のようでした。
そしてブタは言いました。

こんな感じに。そう、絵本のようにです。僕はこのゲームをやっていて、何か懐かしい感じがするなーって思って、よくよく考えてみると、NHKの絵本の読み聞かせ番組を思わせるのだ、と分かりました。

The Last Campfire スクショ1
どこを切り取っても美しい、雑なところが一切ない世界

どんな話?

上質な絵本のように美しく、主人公は絵本の主人公のように強く、優しく、それでも時にはつまずいたりもします。この「優しい」というのが、行動やセリフだけではないんです。しぐさが優しい。これ、すごく大事ですよね。見知らぬ人に声をかける時の目線や手のやり方、受け取ったものを見る様子など、丁寧で優しい。これだけでも心を洗われるような気がしました。ガンガン進めて「消費」してしまうのがもったいなくて、1日30分くらいずつ、雑にならないように大事に大事に遊びました。

いい絵本というのは、必ずどこかにゾッとするような怖い要素を含むものですが、いい絵本のようなこのゲームにも、ちゃんとそれがあります。といっても、ホラーのようなあけすけな怖さではない、説明のつかない不気味さが通奏低音のように最初から最後まで流れています。ある意味、絶望的にも思える世界にあっても、ひたむきに目の前のことに挑む主人公には、現代にそのまま通じる無言のメッセージがあるように感じます。

The Last Campfire スクショ2
上質な絵本のようにあまり多くは語られない。だから考えさせられる

ゲーム性は?

絵本のような、いわるゆ「雰囲気ゲー」ではありません。パズルはちゃんと楽しめるものです。といって、子供では無理とか、攻略情報を見ないと無理、というほどでもありません。ちょうどいい難易度です。作業性のあるパズルではなく、ある程度悩んでから「ああ、そうか!」と解法に思い至った時に感じる爽快感、いわゆるエウレカな瞬間があるパズルです。とても楽しいです。

パズルは「パズル画面」でゲーム内ゲームをやる形式ではなく、自分がその中を歩き回って解決する特設会場のようになっています。その一つ一つが毎回新鮮で、見ているだけで楽しめます。物を動かしたりした時の効果音が適切なのでしょう、試行錯誤している間の「感触」が心地いいので、なかなか解けなくてもストレスを感じませんでした。

RPG要素としても、丁寧に作ってある地図がちゃんと繋がり、辻褄が合っているので適度に迷いながらの探索が楽しめます。シナリオの進行は明確なミッションがありますが、一本道の盲導犬ゲームではなく、地域ごとに自由に進めていくことができます。また、ゲーム内ヒントのシステムもあるので詰まる心配はほぼないでしょう。

The Last Campfire スクショ3
パズルも一つ一つが可愛いらしく、バリエーションに富んで飽きない

結論

総プレイ時間としては短めなので、あまりゴリゴリ爆進せず、少しずつ進めることをお勧めします。そのように大切に時間を割り当てる価値がある作品だと思います。仕事の後にコーヒーを飲みながら、親子でおやつの後に対話しながら、とか。

ナレーションは英語ですが、日本語字幕が出るので大丈夫です。日本語は不思議なところがありますが、ゲーム進行上は問題がないし、昔の絵本の翻訳のような情緒さえ感じられ、僕は嫌いではありませんでした。

結論として、誰にでも自信を持ってオススメできます。いつまでも心に残り、ちょっと凹んだ時などに再訪したくなる、そんな素敵な世界です。

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