僕とサブローちゃんが統計の本になりました!

ホロウナイト漫画:満員御礼

涙の都で悦楽の家に入り、エレベーターで上っていくと、どこからともなく妙なる歌声が近づいてくる。頭のネジが飛んだゆえに心から入る汚染の被害を受けなかったらしいエミリシアの他にも生き残りがいたのか!と、胸を高鳴らせて歩を進めると、そこには儚げな蝶の歌姫が。足元に漂う夢の紋章。儚げなのは、蝶だからではなくて生身ではなかったからだった。

聞けば、かつて都が栄えていた頃、それは高名な歌手だったという。そういえばエレベーターの途中にファンが倒れていた。それが、いつの間にか客足が途絶えて入り口に彼女自身のステンドグラスがあるホールにひとりぼっちで歌っている。切ない。王が強引な帝国主義に走らなければ、こんなことにはならなかった、と、後から言うのは容易いが、潤っていた上流階級はもっと、もっと、と求めたことだろう。被支配階級には奴隷労働を強いるなど暗黒面もあったが、反面、都の文化レベルは上がり、端麗な建物で埋め尽くされた。だからこそ悦楽の家があり、マリッサがいた。

ハロウネストのアンチテーゼであるカマキリの村に生まれていたら、マリッサは不幸だっただろうか。いや、歌とはもっと素朴で原始的なものだったはずだ。薔薇の匂いにむせかえるような豪華なホールでなくても、やっぱり歌いながら働いたんじゃないかと思う。そして、周囲のものはその歌声に癒されただろう。文明って、幸せって、何なんだろうな、と、考えさせられる。

そんな想いにとらわれてマリッサの前に立ち尽くしていると、ふと「座る」というコマンドが出ていることに気づく。ああ、せっかくの歌を突っ立って聞いていたのだった。座ると、一人でもお客さんがいると嬉しい、なんて言うんだ。なんか泣きそうになったよ。マリッサに釘使う人いるのかな。たった1つのエッセンスのために彼女の歌が聞けなくなるなんてイヤすぎる。でも、使った方が成仏?するのか?などと考えあぐねて、今も彼女は歌っている。

ホロウナイトのマリッサ(漫画)
喜んでくれるといいな

コメント

  1. さくら より:

    なんて素晴らしいお供チャームの活用方法だと感動しました…!!私も今度やってみようと思います。彼女の歌は美しくそれゆえに悲しいですが、小さく可愛らしいお客さんたちに見守られればきっと幸せに歌うことができますね。
    ほかの漫画もいくつか拝見させて頂きましたが、どれも優しくあたたかで心が温まりました。幸せで微笑ましい未来の漫画、たまりません…!素晴らしいお話をありがとうございます。
    (お忙しいと思いますのでご返信などは不要です)

    • みみた より:

      ホロウナイトの世界はダークで厳しく、それが魅力の一つでもあるのですが、
      長く冒険していると登場人物に情が移り、みんな幸せになって
      ほしいと思うようになりました。それは原作のポリシーに反するのかな、と
      自問する時もあるのですが、同じ思いを共有してくださる方がいらっしゃるなら
      描いてよかったー!って思いました。ありがとうございます。

      世界のどこかにある、さくらさんのハロウネストにいるマリッサも
      ちょっと賑やかになった悦楽の家で歌えるのだ、と思うとほっこりします。

      • モチ より:

        白い宮殿の記事では本当にお世話になりました。お陰で真エンド手前まで進めております。
        手に入れたばかりのDLCチャームと常備装備の賑やかし要員たちと・・・全く同じことを感じ、同じ行動をしました。
        ただ、ソウル体ということを失念し、もっと会話したいと夢釘使ってしまい私の世界のホールは暗い静寂になってしまいましたが・・・

        • みみた より:

          おぉ!お仲間がいて嬉しいです!
          寂しそうなマリッサさん、ほうっておけないですよね。
          賑やかになっても彼女のコメントは変わらないけれど、
          たくさんの観客の存在をうっすらとでも感じてくれているといいな〜。

          ああっ、わかります、心の中を覗こうとして、つい夢の釘を…
          喋っているとわからなくなるんですよね。
          僕もベスパでやってしまいました。

          血と汗と涙の結晶である白い宮殿の記事がお役に立って嬉しいです。
          真エンド目前とのこと、心からのエールを送ります。
          絶対、絶対、報われます!ファイトー!