僕とサブローちゃんが統計の本になりました!

ベセスダの正体はVault-Tec?Fallout4を終えて

ベセスダの正体はVault-Tec?Fallout4を終えて

初期パラメータで命中率を上げるパーセプションと攻撃回数を増やすアジリティーに振って戦闘が楽になり(ステ振り)、さらにはスカイリムで大好きだった解錠があると知って(天職)一気に加速したフォールアウト4。

神ゲーの誉れ高いのも納得の奥深さです。楽しかったです。いや、楽しいです。まだ当分周回を続けると思うので現在形で楽しいです。

スカイリム同様に自由なのはもちろん、厳しく自分の道を選ぶことを迫られるのが、つらいながらも没入感を後押しします。同胞団、暗殺結社、盗賊ギルド、吸血鬼ハンター協会など全ての団体をかけもちできるスカイリムは牧歌的で楽しいですが、Fallout4ではそうした団体が敵対し合っているので、どこかで取捨選択をしなければなりません。そして、それは、友達になった人も含めて、お世話になった人たちに手酷い裏切りを働くということでもあります。

つらい。何かを選ぶということは何かを捨てるということ。どんな選択をしても全ての人を喜ばせることはできない。そして、選択には責任が伴う。時には理不尽に恨まれることも。そうした人生の厳しさを残酷なまでにハッキリと教えてくれます。

思えば、今までゲームでここまでの割り切れなさや心が痛む葛藤を感じたことはありませんでした。ラジオで聞ける往年の名曲の中にエラ・フィッツジェラルドの”Undecided”があることからも、このゲームはユーザーに迷い、悩んでほしいのでしょう、複雑な状況を次から次へと投げてきます。いつもキリキリと胃を痛めながら、裏切ることになるかもしれない人たちと晴れない思いを抱えたまま行動を共にします。

でも、中盤にさしかかって「おや?」と思うことが。他の組織に対してインスティチュートが邪悪すぎるのです。「誤解されているだけだからチャンスをくれ、もっと知ってくれ」と言うから業務を手伝ったり、封鎖された古い施設に潜入したりして調べてみればブラックホールもビビる見事な真っ黒。これでは血縁の情以外に、あまり迷う余地がありません。現場レベルでは人間らしい心を持った人もいますが、それはどの組織についても言えることです。

なぜこんなことに?選び難くしたいはずでは?ただツメが甘い?雑なだけ?いやいや、僕はわざとこうなっているんじゃないかと思うんです。

トロフィー達成率を見てみましょう。各ルートでクリアした人の割合がわかります。一番多いのが、なんとインスティチュート・エンドです。どう見ても人類の敵である組織と生きる未来を選んだプレイヤーが一番多い。なぜでしょう。

Fallout4派閥別エンディング割合グラフ
注:ミニッツメンエンドはトロフィーが無いので不明。1周目で選ぶ人はかなり稀だと思うので気にしなくてよさそう

トイレがきれいだから?これは人間として侮れない部分だとは思いますが、それだけ?

自分の力で善良な組織に変えていくため?この可能性は僕も検討しましたが、それをボンヤリとでも示唆する材料が見当たりません。Dr. リーはじめ、まともな人たちを味方につけて方針を転換していくことを考えてみます。ある晩、目を覚ますとアヨが差し向けたコーサーの群れに囲まれていて頭を吹き飛ばされる未来しか見えません。

僕自身の一周目を振り返ってみると、初めてインスティチュートを後にする時には

「みんな胡散臭いし、どうせなら息子の味方をしてやろう」

と、確かに思っていました。ですがその後ワーウィック農園での胸糞悪い工作に加担させられ、バイオサイエンス部の奥に隠された不潔なスーパーミュータント実験場を見、ファーザーに心酔するコーサーの冷血ぶりを目の当たりにするに至って、怪物となり果てた我が子を父親の責任として止めなければならないと考えるようになりました。

スーパーミュータント放送の頭の良さそうな女性は、間違いなくインスティチュートの学者ですよね。初めて緑の怪物を引き連れて地表に出て、彼らの仕事=「人類を捕食すること」の先鞭をつけているまさにその瞬間が録音されて残っています。その声のあっけらかんと無邪気で明るいのは鳥肌もの。「地上の人間は滅べばいい」と考えるだけでも十分に悪魔なのに、積極的にバリバリ滅ぼすために動いていたわけです。ぞっとしますね。こんな組織ヤダ!と思いませんか。

ここで考えてみましょう。ファーザーに会ってから、言われるままにクエストをクリアしていくと、どうなるか。おそらく、お手伝いクエストを発生させることもなく、従って暗黒面を直視する機会のないままインスティチュートエンドを迎えるのです。

大して文章を読まず、クエストマーカーを追ってゲームを消費する…これは僕自身を含む最近のゲーマーの傾向であり、情報過剰に対する適応の結果の一つだと僕は思っています。なので、なんとなくプレイしているとインスティチュート・エンドを迎える、と考えられそうです。

一方、ベセスダはゲーマーのこうしたプレイ態度をどう思っているでしょうか。忌々しく思っているか、アホだと笑っているか、もったいないと嘆いているか、詳細は不明ですが「好ましくない」と考えていることだけは確かだと感じます。なぜか。

僕はベセスダを語れるほどこの会社のゲームをやっているわけではなく、むしろ初心者であって、これ以外にはスカイリムしかプレイ経験がないんですが、そのスカイリムプレイ時からこの思考を強く感じて意識していたからです。やはりそうだった、という思いです。

例えばスカイリムでは、言いなりにクエストを消化していくと、食人したり信頼してくれる人を騙して殺したりと、とんでもない道に入らされます。デイドラクエストをキッチリこなしていくと立派な鬼になってしまいますし、改心して主人公が世界を救う手助けをしてくれるドラゴンを昔の恨みから殺せと言われたりもします。

僕はこの時、ベセスダはユーザーがどの程度の餌を見せれば非人道的な行為に及ぶか、一種の社会実験をして楽しんでいるのではないかと疑いました。

そんな折りに、クエストマーカーが出ないクエストに遭遇したんです。ウィンターホールドの宿屋で飲んだくれている男の逃げた奥さんを探すクエストです。いつものように「ハイハイ」と斜め読みして参考人を探そうとすると、マーカーが出ません。浮気相手の名前をVexと言っていたような気がしますが、僕が知っているVexは盗賊ギルドにいるキツイお姉さんだけです。

とりあえず行ってみると、間男というのは亭主の勘違いだったことがわかり、話が進みます。そして最終的な探索場所を彼女から教わりますが、やはりマーカーが出ません。自分でしっかり話を聞いて記憶していることが求められるわけです。

初めて分かった気がしました。ベセスダからのメッセージが。「自分の頭で考えろ!」という。

Fallout4に戻りましょう。ベセスダのメッセージが「自分の頭を使え!」であるならば、漫然とプレイしてインスティチュートで終わったプレイヤーは(熟考して敢えて選んだ人は違います)、罠にかかった、ということになるのではないでしょうか?

そして、結構な数の人がその罠に落ちている、と。ベセスダはそれを見てほくそ笑んでいるのでしょうか?それとも指差して嘲笑っている?

ここで、この世界におけるもう一つの悪の組織・Vault-Tecのことを思い出しましょう。僕はスカイリムでベセスダはユーザーを使って社会実験をしているのではないかと疑っていました。ですから、Falloutでそのような非道な実験を行っている悪徳企業がズバリ出てきたので驚きました。つまり自覚がある、というより意識的にそうした姿勢をユーザーに見せている、ということですよね。

隠すこともできるのに敢えて見せるのはなぜ?ユーザーに対する挑戦、煽りかもしれませんが、親切な警告とも受け取れませんか。「チーズを目掛けて迷路を疾走するネズミでいいのか?」という。

それはこのゲームをクリアした時に現れるメッセージとも合致しています。「自分で自分の道を選べ、そしてその責任を自分で負え」という。善良にも邪悪にも生きられる世界で、どう生きるかはあなた次第である、と。それはそのまま現実にも当てはまるわけです。

従って、このゲームをプレイすると犯罪への閾が低くなるとか、喧嘩っ早くなるとか、節操なく浮気するようになるなどと糾弾するのは的外れです。そうなる人は、もともとそういう人だということではありませんか。ただし、善悪を判断する物差しが完成していない子供は別です。悪い影響を受けるでしょう。だからこそ年齢制限が必要なのだと、しみじみ思います。首が飛ぶとか血や内臓以前に。

どのルートを選んでもドキドキするシナリオが用意されており、個性豊かなNPC達とのやりとりは退屈する暇もなく、豊富な武器や防具を集めていると止まらない、ただ彷徨っているだけでも楽しいという文句なしの傑作です。

それに加えて、この極めて王道なメッセージをゲーム全体を通してじんわりと伝えてくるということに強く心を打たれました。そういう伝え方ができるのだ、ということそれ自体にも。

サブロー
サブロー

グラフが2010年現在ってなってるけど、まだFallout4出てないんじゃ…

みみた
みみた

2020年の間違いだな…ま、直さなくても言いたいことはわかるだろう

サブロー
サブロー

適当すぎ…

コメント