その歌は忽然と頭に浮かんできたのです。
歌えるんですが、何か思い出しそうになると目の前が曇るというか。つらいことを思い出しそうな予感がしたのです。
思い出してみれば、その切なさは希望をもって探していた息子があんなになっちゃったことや、シナリオが進むに連れて誰か一人は裏切らなきゃならないというやるせなさでした。
嫌なこと、辛いことを思い出しそうになると脳が抵抗する、いわゆるサイコ・ロック(※逆転裁判)は時々あるんですが、ゲーム体験ではこれが初めてです。
曲はエラ・フィッツジェラルドのInto Each Life Some Rain Must Fallでした。ダイヤモンドシティ・ラジオは攻撃的で苦手な曲も多くかかるので、これがかかると嬉しくて、多分一生懸命耳を傾けているうちに歌詞まで覚えていたようです。なのにすっかり忘れていてビックリです。
ジャズ・ボーカルの巨星ですからいい曲に決まっててずるいんですが、「1950年代に作られたSF映画のような世界を生きた」という本当はあり得ない錯覚を鮮烈なイメージとして記憶に埋め込む上で大きな役割を果たしていると思います。
この体験を経て、懐メロを聴く人の気持ちがわかったような気がします。「その曲を聴いていた自分」の元に記憶の翼で飛んでいくために聴いているんですね。
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