66. 養蜂の父

みつばち漫画みつばちさん:66. ヨウホウの父・アイキャッチ
みつばち漫画みつばちさん:66. ヨウホウの父

「三角関数? 何に使うんだよ、だりー!」
「三角関数はすごいですよ! ピラミッドだって三角関数を使って計算されているのです!」
「俺ファラオになる予定ねーし!」(←計算は技師の仕事だと思うよ)

誰でも三角関数/積分/因数分解で苦し紛れに先生にこのように絡んだことがある、あるいは絡む人を見たことがあるのでは。先生もヘタクソですよね。ピラミッドなんてぶっ飛んだ例ではなく、「シューティングゲームで手抜きなサインカーブの敵の動きを見切りやすくなる」とかもっと卑近な例を出さなくちゃ! わかってても吸い込まれて衝突するんですが…。

さて、英語でこれに当たるのが

「古い英語なんてイラネー! アメリカ英語の方が将来仕事で使えるんじゃね?」
「シェイクスピアが原文で読めますよ!(ウットリ)」
「え~、読みたきゃ日本語で読むしそのうち漫画化されんじゃね!」

ではないでしょうか! ちなみに生徒は私ではありません。

でも、シェイクスピア英語も、実はずーっとずっと後になって思いがけず蜜蜂さんにハマッた時に英国養蜂の父の著書を原文で読めるという恩恵があったのでした。これは予測できなかった! というわけで、故ジョブスも「人生に無駄なものなどない」と言っているように、乏しい資源を最大限に活用することが上手な(本当に古い、なにげない情報を引き出して間に合わせたりしますよね)人間の脳の栄養として、いろいろな体験はもちろん、わざわざむこうから教えてくれるというものを拒否するなんてもったいないことです。ああ、もっと真剣にやればよかった!

枕が長くなりましたが…

地図でヤケクソになって文字も読めることにしたわけではありません。これは「お悩み相談」「広報」のような番外編だと思ってください。蜜蜂さんサイズのシェイクスピア時代の原本も多分現存しないと思います!

漫画の中に原文が使っている単語を入れたのは、「雄蜂=怠け者」とする箇所が、雄蜂(drone=怠け者の意味もある)を私が誤訳しているのではなく、わざわざidle companionという別単語を使うことで養蜂の父が意図をハッキリとさせていることを伝えたかったからです。

「今でこそ蜜蜂が足りない、授粉がされない!」という叫びが上がって蜜蜂さんの仕事の大切さが理解されつつありますが、昔は蜜蜂が蜜を吸うと花が弱る、と、信じられていた時代もあるそうです。次の飼育書の著者があるいは参考に、あるいは引用にし、またその次が…と繰り返し今に至るためか、現代の飼育書も子孫を残すという役目があることはさすがに書いてありますが、雄蜂に対する基本姿勢は大差なかったりします。現在の雄蜂さんたちが受けているひどい扱いについて、草分けのこうした態度が後代に与えた影響は大きいような気がします。

人は先入観に割と弱いですから。とりあえず、わからないことを断言するのはよくないですよね。わかっていないということをわかっていないから断言してしまうのですが。

本当に現れて反撃してくれないかな、養蜂の母!

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