「直進部分」が直線で示されないので私は最初戸惑ったのですが、フリフリしながら進むのでそういう表現になっていたのですね。左右に揺れながらも方向としては直進ということでした。
このダンスの何がすごいって、いろいろありますが、一番は、閉鎖空間である巣内の垂直方向に垂れ下がっている面では方角を直接示せないので、太陽と蜜/花粉源との相対関係を重力方向と踊る方向に置き換えて再現し、伝えるという創意工夫の素晴らしさではないでしょうか。
フリッシュ博士、ノーベル賞をもらった時よりも、このからくりに気づいた瞬間の方がずっとずっと嬉しかったんじゃないかな~。想像しただけでも鳥肌立ちます。
わずかな間に体をフリフリ、翅を鳴らしてその音の長さと進む速度で距離をも示し、その間おひねり、じゃなくて、蜜を配り、蜜源が優秀であるほど長い間踊るなど有用な情報がぎっしり詰まっているのもすごいです。
距離が遠くなるにつれて直進部分の角度の精度が上がっていくのだそうですね。本当は正確にできるけれど、中距離ではあえてブレさせることで追従する蜂がそれぞれ適度に探しながら他のもっとよい蜜源を見つける可能性を残すためかもしれません。本当の遠距離になると角度の差による現地での誤差がひどくなりすぎるので正確に行う、と。うーむ、うむうむ、なんとしなやかで高度なシステムでしょう。
巣房の大きさのばらつきといい、「虫のやることだからこの程度だろう」なんて思っているとあとで恥ずかしい思いをします。