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事件に思うこと

統計リテラシー

東京の渋谷というか,赤坂と言った方が正確だけど,高橋是清翁記念公園というのがあります.あんな都会に自然を感じられる場所があるのが意外ですけど,近くの会社に用事があるときは良く訪れていました.気分転換にぴったりな好きな公園です.この公園は,名前からわかるように高橋是清の屋敷の跡地に作られました.高橋是清は226事件で青年将校の凶弾に倒れたことで有名です.そのときは大蔵大臣だったと思うけど,総理大臣の経験者でもあります.

まあ,亡くなったのが80歳過ぎてだからね.老人だからいいというわけではないけど,もちろん.立派な業績を残した人の終わり方としては,まさに無念だったろう.高橋是清の残した言葉に,正確にはおぼえてないけど,サラリーマンは不平を言うな,不平があるなら独立起業せよ,というのがあって,自分が今こうしてフリーランスをしているのは,この言葉に影響されたということもあります.

こんな厳しいことを言っているのも,彼の経歴を知ると頷けます.まさに,小説のような経歴の人で,生まれは江戸時代だけど藩の命を受けてアメリカ留学した先で,騙されて奴隷として売られたという人です.初代特許局の局長,日銀総裁として日露戦争の資金調達や後には総理大臣も経験した人です.私はこの人の風貌が好きですね.見ていると安心できます.

長いこと政治家なんてやっていると恨みを買うこともあるだろうなと思います.226事件は極端だったけれど.暮らし向きが良くなったり悪くなったりするのは,政治とは関係ないとまでは言わないけれど,相関はあるかもしれないけど寄与率は小さいくらいに思ってます.長期政権だともなると,当然のその間には経済がいいときも悪いときもあります.この波の狭間にあって,恨みに思う人も出てくるだろう.

会社でも,経営がうまくいくのは社長の力量と思われているけど,実際には相関はないことがデータで示されてます.元アップルの原田さんなんかも,一時はカリスマ経営者と言われたけど,その後のマクドナルドやベネッセではパッとしなかった.現在は熊本の小さい健康食品メーカーのCEOをやられてるけど.つまり,会社の業績なんてのは誰が社長であろうとも,大きな揺らぎの前にはその影響は小さいのだろう.

たまたま,会社の業績が波に乗っているときに社長をしていれば,その人の力量と過大評価を受け,逆のときは能無し呼ばわりされる.これを運と呼ぶのかもしれないけれど,確率的な考え方が多くの人に備わっていれば,人を評価する際に,少しは「たまたま」ということを意識できるのに.そうすれば,自分の境遇の不満も別の見方ができるのにと思う.こういうのも統計リテラシーの一つではないでしょうか.

歴史に残る事件にこんなことを考えてます.それでは.

統計的問題解決研究所

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