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アルコール消毒について考える

統計リテラシー

コロナが社会の仕組みにもたらした変化はいろいろある.リモートワークとかキャッシュレスへの半強制的移行とかが大きいところだけど,あまり関係ないという人もいる.リモートワークの普及は仕事の性質によるところも大きくて,営業さんがリモートワークってピンとこない.リモート営業なんて言葉も出てきたけど,実態はなにやってんだろ?知っている営業さんは,カタログの入った重い鞄を持って,一日のほとんどが移動だと言ってた.そのときはじめてパイロットケース(フライトケースとも)というものの存在を知ったっけ.対面コミュニケーションスキルも移動の手間もなくなれば,何をしたのかという実績だけがそこに残ります.これからは,自分の時間をどの程度業務に費やしたかではなくて,結果が評価指標になっていかざるを得ないのは営業さんだけじゃないって思ってます.

すべての人に関係する変化としては,マスクと手洗いがあるよね.これらだけは後の世に残っていくんじゃないかな.少なくとも日本では.先日,どんなせっけんがコロナ対策に有効かという記事をBBCで見たんだけど,答えはどんなせっけんでもいいそうです.せっけんによる手の荒れを防ぐために,せっけんで手を洗った後に気を付けるといいみたい.考えてみれば皮膚ってすごいバリアだよね.手が荒れると,そのバリアが破られてしまうらしい.アルコールと併用するといいそうだけど,コロナ流行前から自宅には75%エタノールが買ってあって,ほとんど外出しないのでなかなか使う機会がなかった.この頃はアルコールも比較的容易に買えるようになったので,外出頻度も増えてきたことだし,アルコール消毒も併用してみようと思いたちました.

ということで,キングジムが作ってるtetteというやつを買いました.テプラとかポメラを作っているメーカーなので自分としては信頼感がある.Amazonのリンクを張っておくけど,WordPressでURLをコピペすると立派な画像付きのリンクが自動生成されるんですね.(デフォルトだとKindle用みたいで,FREE PREVIEWなんておかしなリンクができてるけど.まあいいか.当然プレビューできないから押さないように.)画像があるとリンクを踏まないでもいいし,なんか立派に見えます.そうか,だからAmazonは商品画像は白無地背景を指定してるんだと納得した.(ちなみにAmazonアソシエイトとかやってないので念のため.)

とりあえず,保管しておいた75%エタノールを入れてみたけど,一回の吐出量は少ないという印象.スプレーしないで水鉄砲のよう出るのは好感が持てる.アルコール消毒の正しいやり方は,手のひらに窪みを作ってそこに消毒薬を溜め,反対側の手の指先を浸ける.それから消毒薬を反対側の手のひらの窪みに移動させて,同様にして反対側の指先を浸けるという手順が重要なんだけど,このやり方だとスプレーして欲しくないんだな.おそらく1回に2,3ccの消毒薬が必要になるけど,tetteは0.8ccくらいだからかなり少ない.何回か継ぎ足せばいいけなんだけど.

もう一本エタノールを買っとこうかなと思ったんだけど,エタノールでも75%もあると手が荒れて皮膚のバリアが破られるんじゃないかと,ふと不安になったのです.それに75%のものはまだ価格も高い.正確には価格変動幅が大きくて,先日1200円くらいだったのが今は1900円近くになってる.買うタイミングが難しいですね.

もっと濃度が低いものだとかなり安く買えるから,本当に75%が必要なのか?と疑問に思い,文献を調べてみた.最近の文献は査読もされていないものが多く,実験も雑な印象を持っていたので,コロナ以前の文献を探すと,例えばこんなのがあった.

http://www.thcu.ac.jp/uploads/imgs/20190605090207.pdf 神明朱『殺菌・抗ウイルス効果に及ぼすエタノール濃度の影響』

博士論文なので,実験手法が事細かに書かれているのでありがたい.最近の論文だけど,まだこのときは新型コロナは見つかっていない.だけど,エンベロープウィルスについても何種類か実験されてます.どれだけ効果あるのかは,濃度を振ったエタノール900μLにウイルス液100μLを混ぜてかき混ぜて,10 秒後と 60 秒後に試料細胞に対する細胞変性効果を観察してウイルス量を測定したそうです.で,作用時間10秒での結果として,要旨に次のようにあります.

エンベロープウイルス(2 種 7 株)は、ウイルス株により 36 v/v% または 45 v/v% 以上の濃度で判定基準値以下となった。

v/v%というのはvol%とも書くことがあるけど,体積パーセント濃度で,w/w%(重量パーセント濃度)と値が違うので注意.換算表は,ここにあった.http://www.alcohol.jp/expert/expert_table/10suiyouekikanzan.pdf 例えば,この商品.商品説明には,成分:エタノール(46.30%)、グリセリン脂肪酸エステル(0.10%)、pH調整剤(0.01%)、精製水(53.59%)と書いてあるけど,この46.3%はw/w%なのです.だから,換算表によればv/v%では54%になる.ということは新型コロナのアルコール耐性が従来型と同じであれば十分使えそうですね.

BBCの記事には保湿剤の入っている石鹸が望ましいって書いてあったけど,この商品「手肌に優しい弱酸性で保湿剤入り」ということで,その点でもありがたいかな.何よりも5Lもあってそれほど高くない.

上にリンクを貼った無水エタノールは99.5v/v%だから当然希釈することが必要だけど,さっきの論文には,希釈するさいの不純物の影響が無視できないようです.PHを変えてしまうことの効果も無視できないよう.そうすると精製水が必要になります.我が家には万年筆のインク希釈用のがあるんだけどね.

ブログを書いていて方針が決まりました.新型コロナを総括するなんて少し前に書いて,それきりになってるけど,まずはできることから始めてます.いざっていうときに,論文を読んでる余裕はないから,できるときに,データに基づいてじっくり考えておくことが大切だなって思います.

それでは.

統計的問題解決研究所

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