コロナ生活を総括する

これは自分自身に言い聞かせているのだけれど,そろそろコロナの総括をする時期なのではないかと最近思ってます.ニューノーマルなんて詩的な言葉で他人に言われるまでもなく,これからの日常をいかに生きていくかを考えるタイミングなんじゃないかと.乱暴を承知で言わせてもらうと,おそらく今回の騒動は,医学やそれをサポートする生化学や検査技術は発達して,人間がものを必要以上に知りすぎたことが原因なのかも.いつぞやも書いた記憶があるのだけれど,枝雀の落語の枕に,大昔は「病」しかなかったと.時が経つにつれて「上の病」と「下の病」に分かれ,医学の発展にともない更に細分化されて,それこそあらゆるところに病がある,というのが現代なのだという話.「統計的問題解決入門」のコラムにもかいたけど,それこそ分類は人間を不幸にするものだと思います.

コロナ感染の流行が収まったら,を合言葉にみんなで頑張ってきたわけだけど,どうやら収まりそうにもないと気付いてきた人も多いのではないかと思うこの頃です.アメリカやインドではそれこそ何十万人もの方が亡くなっているものの,少なくとも日本での人的被害は大きいとはいえないのも事実.この事実の間の整合性をとるのが難しくて,頭の中で不協和を起こしています.

PCR検査無用論を唱えている訳じゃないけど,いまだに本日の感染者は何日振りに何百人超えたとか,あるいは何日連続何百人とか,感染者数が感染指標として報道されているけど,「これっておかしいよね.」と思います.オリンピックじゃないんだから,そのような情報には全く価値ないです.そもそも検査体制の仕組みから明らかな一週間周期のパターンがあるのに,何日連続なんて意味ないでしょ.感染者数は検査人数で大きく変わることは,新宿や横浜のホストクラスターでも明らかだし,今回の第二波と言われているものだってその正体はPCR検査対象者を無症状者にも広げたからと言われてる.

PCR検査のデータの使い方の問題について考えていて思い出したけど,大学生の成績を評価するGPAというのがあります.アメリカが発祥なのだけど,成績をGP(Grade Point)で付けて,それを単位当たりの平均(Average)した値で学生の能力を評価する制度です.日本企業でもGPAを重視するところが増えてるらしい.大学でもいかにGPAを上げるかか,不幸にして低い学生はどのように面接で言い訳すべきか,という就職指導がされています.これも変な話.GPAは,本来どれだけ真面目に講義を履修したかという態度の指標であって,学生の能力を評価する指標ではないはずです.

その昔「FORTRAN」の授業を必修科目でないのに興味本位で取ったものの,いろいろ忙しくなってしまい,最低限の課題だけ提出してギリギリの成績で単位をもらった人がいます.当時はそのことを後悔したけど,今となってはその後,技術者となったときに役に立ったなと,不真面目だった割には思うのです.おそらくGPAなど意識していたら,「FORTRAN」は取らなかったことは間違いないです.(本人談)こういう評価方法だと,アグレッシブに広く学ぼうとする姿勢をスポイルしてしまうよね.

コロナの感染者数だって,アグレッシブに検査すれば増えるのと似てます.かと言って,以前のように必要最低限の検査をすればいいと言っている分けじゃないです.ただ,感染状況の指標として連日のように報道するのは問題だと思ってます.批判するだけじゃなくて,代案はあって,それがECMO装着者数です.1名でも多く回復してくれたらいいなと思ってますけど,19日の時点で日本で25名の方が闘病されています.

日本COVID-19対策ECMOnet COVID-19 重症患者状況の集計 https://crisis.ecmonet.jp/

これ積み重ね棒グラフなんだけど,ECMO離脱者は総数と亡くなられた方の人数は累積なので注意が必要です.ECMO実施中は当然現時点の人数だから赤い部分だけ見ればいいんです.おそらく第二波と呼ばれるピークを過ぎて,今緩やかに減衰しかかっているところです.死亡例は68例あって,8月の頭はまだ60人くらいだったから,この一月で8名の方が亡くなったことになります.

このグラフは,人の命がかかっているとても重いグラフなので,軽々しく解釈できるものじゃないけど,それだけにこのグラフはおそらくコロナ関係で最も正確で信頼できるデータだと思ってます.レスポンスが良くないのが欠点だけど,日本中の人が,このグラフを毎日見て,闘病されている方々の回復を祈念したり自分自身や周りの人のことに注意をしなくちゃと気を引き締める.そういう指標として報道してくれるといいんだけど.無症状者が何人で自己申告の感染経路不明者が何人なんてなんの役にも立たないよ.

少し脱線したけど,自分としての総括は,これからはマスクと手洗いの励行して日常を正常に戻していこうってことですね.なにが正常なのかわからないけど.仕事柄,複数の人の前で話すときはマスクしてるけど,以前から日常的にしてることが多かったのでこれはあまり苦にならない.なんか喉が乾燥に弱いんです.マスクしないおじさんなんかも出現しましたけど,まあ突っ張らないで,慣れた方がいいです.マスクがデフォルトになるから,おそらく文化に根付くかも.

そもそもマスクは人のためだけど,自分のためにはやっぱり「手を洗いましょ」ってことが一番ですね.医学の発展がコロナ騒動の根源とは言ったけど,感染予防として手を洗うことの大切さを主張したのもまた医学です.とはいっても,ハンガリーの医師で今では感染制御の父と称えられているゼンメルワイス先生(Ignaz Philipp Semmelweis)がこのことを唱えたのが1847年だから,まだ170年前のこと.産科感染症の産褥熱は医師の手の消毒が不十分であがるとの主張は,今でこそ基本中の基本だけど当時は大バッシングを受けた.

人,特に専門家は通説と異なる新しい主張を,脊髄反射で否定するらしいです.自分への戒めとして書いておきます.センメルヴェイス反射という名前が付けられている現象だけど,これは自分のことのように悔しいと思うゼンメルワイス先生が当時の医学会から締め出されて1865年に不遇の障害を閉じたことに由来します.それときはまだ彼の業績は認められていなかったから,150年後の世界で世界中の人がアルコールで手を消毒しているのを知ったら「それ見たことか」と喜ぶのじゃないかな.そんなことを思って,手を洗うときにはいつもゼンメルワイス先生のことを思い出してます.

コロナ生活を総括するなんてタイトルで書きだしたけど,どうも本日はうまく総括できなかったみたいです.仕事の上でもいろいろ変化があるので,それらを含めて続きはまたにします.

だらだら書いてしまったけど,最後にJMP関連でお知らせです.Discovery Summit China 2020が来週開催されます.オンラインなのでDiscovery Summit Japanの雰囲気を一足先に味わってみたい方はエントリーはこちらです.
Date: 22-24 September
Time: 13:00-15:00
https://discoverysummit.jmp/en/2020/china/registration-info-2020.html

それではこのへんで.