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  • ホロウナイト:夢見の釘で夢拾い(5)ニセモノの夢

    以前の記事『夢見の釘で夢拾い(4)幼虫さんの夢』で、「幼虫さんに擬態したニセモノには夢がないので見分けがつく」と書きました。が、間違ってました。これほどまでに愛情を込めて細やかに作り込んである作品で、何もないはずがないと疑うべきでした。

    それにしても、本物かニセモノか区別するために夢見の釘を使ったならまだしも、本物が出たあとで、「ニセモノだから何も出ないもんね」と思い込んでいたら、まさかの邪悪な一言です。不意を突かれて、素で「ぎゃー!」と叫んでしまいました。ううう、かなりしつこくやり込んだつもりでも、いまだにビックリさせてくれるホロウナイト、ありがとう…。できれば暑い夏がよかったですが。ホラー映画の手法としても、視聴者が身構えている時よりも、一旦安心させて油断しているところをビックリさせるのが効果的らしいですからね。

    おそらく、以前ニセモノに夢はないと勘違いした時は、釘が届いていなかったのでしょう。そういえば中の幼虫さんではなく、ビンに釘を当てる気持ちでやっていました。今回は、たまたま攻撃範囲が伸びるチャーム「誇りの印」をつけていたので、同じ狙いでも中身に届いたようです。いい加減なこと書いてすみませんでした。元記事と漫画も訂正しておきました。

    さて、ニセモノの夢は3通りからランダムで表示されるようです。

    1)…空洞…
    2)…他の…
    3)…殺す…

    僕はいきなり3)を引いてひっくり返ったのですが、その後検証して、1)の「空洞」にもゾッとしました。だって、空洞といえばこのゲームで重要な言葉であり概念である虚無、voidのことかなと思うじゃないですか。すると、ニセモノはただ食料を得るために擬態するよう進化した虫というよりは使命を帯びた同胞たちを狙う刺客なのか、と。差し向けたのは誰なんだ、とか。

    ワクワク、ゾクゾクしながら英語版で確認したら、英語では以下の通りでした。

    1)…Empty…
    2)…Other…
    3)…Kill…

    「空洞」に当たる単語は期待したVoidではなく、Emptyでした。すると、この状況では、同胞たちを指すというよりは、空き瓶と解釈するのが妥当に思えます。「空き瓶を見つけたから入ってなりすましてやろう」でしょうか。3つの単語はランダムで出るので、時系列はわかりませんが、Emptyは動詞である可能性もあるので、「他のやつを殺して瓶を空けよう」かもしれません。つまり、たまたま空いていたのではなく、空にした、と…。ああ、おそろしい。倒すと幼虫さんぽくなるのも見るのがツライんでやめてほしいです。

    夢拾い5
    マジでビビりました

  • ホロウナイト:夢見の釘で夢拾い(4)幼虫さんの夢

    かわいい幼虫さん。姿がかわいい。声がかわいい。あの声もTeam Cherryのスタッフの一人である立派な成人男性が出しているのかと思うと一周まわってかわいい。つい見つけると嬉しくて即ビンを割って救出していましたが、ふと思いついて夢の釘を当ててみると…

    英語なら …Home…
    日本語なら …家…

    まあもちろん間違いじゃありません。でも、意味からすると、

    「家、それは遠くにあって思うもの」

    などと達観しているわけでもなく、

    「ああ、こんなところに閉じ込められちゃった。おうちに帰りたいよぅ」

    と嘆いているわけですから、

    「おうち…」

    としてほしかったなあ。細かいことですが。「うち」で変換すると「家」とも出るので、ネット上の砕けた書き込みでよく「家じゃそれは普通」のように「うち」と読ませたい「家」を散見しますが、わかりにくいので平仮名がいいと思います。

    幼虫さん地図無しではビンを割るまで分からないと思っていた偽物も夢の釘を当てれば何もないので※、馬脚を現します。「キヒヒヒ」とか出たらチビりそうだったので、無言でよかったです…。

    ※追記:ニセモノにも夢がありました。キヒヒよりチビりました。お詫びして訂正します。詳細は別記事『夢の釘で夢拾い(5)ニセモノの夢 』で。

    夢拾い4


  • 夢見の釘で夢拾い(1)絶望のキャンプ

    少し前までは洋ゲーの日本語訳というと、割とトンデモ訳が普通にあったりしたものです。最近はグローバル化で多言語対応が当たり前になったためゲーム翻訳専門の業者もいるそうで、小さな会社の小さなゲームにも、こなれたいい日本語訳がつくようになってきました。ありがたいことです。

    インディゲームであるホロウナイトの和訳もいい感じです。ゾートが涙の都の降り注ぐ雨の中で主人公に呼びかける”Soggy Vagabond”を「ずぶぬれ小僧」と訳しているあたり、書類の束をただ翻訳しているのではなく、登場人物像と相関関係をちゃんと把握した上で例えばゾートは終始一貫したゾートらしさを、ホーネットはホーネットらしい言葉遣いであり続けるよう、丁寧に仕事をしてくれていると感じて、プレイヤーとしては感情移入しやすく嬉しいです。

    ただ、さすがに全編をプレイしながら翻訳しているわけではないでしょうから、たまにおかしなところはあります。それが目立つのが、倒れている遺骸に夢見の釘を当てた時の言葉です。だって、これ、一言、二言の断片的な単語が多いですよね。リストにある単語だけ見て状況に適した訳をするのは正直なところ無理ゲーでしょう。だから決して責めるつもりはありません。状況説明が付記されているとしても限界があるでしょう。

    ですが、夢見の釘で聞ける言葉はその虫の心の最後の残留思念なので、ちゃんとした意味がある場合が多いのです。それが日本語版では上記の理由で伝わらないのがもったいないので、齟齬が大きいものに関して、ここで共有していきたいと思います。そのきっかけになったのが、漫画にもある緑の道のはずれ。ここに初めて来るときには夢を覗けないので、「なんか倒れてる」と思っただけでした。やがて夢の釘を持って再来した時に、ああ、何か思い残したことがあったのかな、と、見れば、「…疲れた…」は分かります、もう一方は「…失われた…」

    何が?って思いますよね。これの原文はLost。(We are) lost、「迷ってしまった」です。つまり、ここで倒れているふたりは、迷いながら緑の道の果てまで来たものの、酸の池と、近づくとペッと何か吐いてぶつけてくる凶悪な植物が群生する難所でついに力尽きてしまったのでしょう。自分も1周目はここで倒れたから、よくわかります。無理せずベンチでポン!すべきだったのです。

    ここは厳しいですもんね。はい、僕も遭難しました。

  • ホロウナイト: 夢見の釘で夢拾い(3)灯台事件の謎

    断片的で翻訳しにくい夢のセリフの意味不明な箇所について適切な訳を考えるこのシリーズも3回目。これまでの、キャンプで力尽きた虫やノスクの巣への累々と続く遺骸の最後の思いは、意味が分かると状況をより楽しめるという類のものでした。夢の言葉なしでも何が起きたか察せられるるので。今回は、夢の日本語が意味不明なために物語上重要なシーン自体の意味が不明確になっている箇所、アビスの灯台でひっそり倒れている虫の夢に焦点を当てたいと思います。

    アビスに入ると、まず暗くてビビり、どこまで続くとも知れない穴の深さに、さらにビビります。そして不気味な環境音や1発で2ダメージをもたらす影の攻撃に怯えながら進んでいくと、洞穴の中に突如として大きな灯台が姿を現します。上ろうとすると、次々と影が襲ってきます。時には上の足場に乗った途端、同時に3体現れて包囲を狭めて来たりもします。灯台の最上階には、よほど重要な何かがあるに違いない、そう思いますよね。

    ところが、入ってみれば暗い部屋にレバーがひとつ。倒すと灯りが着きますが、それだけ。外に出ると、灯台のまわりにはもう影が発生しないことが分かります。部屋に戻ってよく見回すと、一匹の虫が倒れています。服装からして宮殿にいるタイプのようです。都をうろつく貴族連中よりも階級が上の。それがなぜこんなところに?そこで夢見の釘です。

    …消すというのか…それは...
    王よ、すみません…海が呼んでいる…

    状況がわかりませんよね。日本語としても意味不明です。初回は首をひねりながらも奥に進み、影の衣をもらって帰ってしまったが、どうにも気になります。そこで英語ではどうなっているか見てみると、

    Turn it off? Cannot…
    My king. I’m sorry… The sea calls…

    やはり断片的で分かりにくいものの、少なくとも1行目は消すように命じられて、それを拒否する言葉だというのは議論の余地がないと思います。これだけでも事情がだいぶ見えてきます。2行目で、この会話の相手が王だと判明します。

    滅多に姿を見せないと言われる王が、直々にこんな不気味な場所に足を運び、灯台の灯りを消すよう命じた。拒否され、説得をしたと思われるが、服装から学者か責任者らしいこの虫は、断固拒絶した。
    
    なぜ拒否したか。灯りをつけていると影は襲ってこない。消すことは危険だからか。だが、現実問題として技術者は倒れていて、灯りは消えていた。王の望んだ通りに。そして、おそらくその後、純粋な器を決めるレースで勝った器を連れていく王はひとりだった。

    この状況からして何が起きたかは明白なのではないでしょうか。

    各地で集めた情報を合わせると、古くからの虫の墓場のような場所であるアビスは、王が肉体を乗り換えて永遠に生きるための装置だったのではないか。灯台はそれを制御していた。地底から上ってくる影に王の仮面をかぶせて王の型(カラ、と訳されているがmould=mold=ケーキの型などの言葉なので型が適切かと思う)に入れて次々と新しい王を作ってきた。

    そう考えると直近の王が、王国のはずれの抜け殻から想像される長く巨大な姿とは違う、普通の虫の姿になっていることの説明がつきます。

    だが、汚染の脅威が増すにつれて、王は自分の不死性をあきらめて、この不気味な装置を器を作る装置に変えた。稼働に当たり、危険であるが灯台の光を落としてたくさんの影を呼び出す必要があった。反対した学者を斬り捨てても強行するほど、王は必死だった。

    こう読みましたが、どうでしょう。正しいかどうかは置いても、「消すというのか、それは」という現在の日本語訳では意味不明すぎて何も想像できなかったことだけは確かです。ホーネットの「虚無を共有しない」みたいな直訳はまだいいんです。意味はわかるので。原語を遠く離れて日本語としても意味がわからないのは困ります。本来の英語のセリフからあれこれ考えるとゾクゾクしたし、全体の物語の重要なヒントとなるので、この箇所は日本語訳の中で最も残念な箇所だと思います。

    夢拾い3

  • 夢見の釘で夢拾い(2)ノスク惨劇の巣

    先日、倒れている虫に夢見の釘を当てた時の言葉が翻訳しづらいであろう問題について触れました(『夢見の釘で夢拾い(1)絶望のキャンプ』)。今日は、その結果が最も残念になっていると感じた場面について。それは、裏を返せば夢の言葉が最も効果的に使われている場面でもある、ノスク戦への道のりです。

    自分そっくりな誰かを追って、迷路のような狭くて暗い道をどんどん進んでいく場面です。誰なのか、事情を聞けないか、と、必死で追っていくと、背後で次々にシャッターが閉まります。

    「引き返せない」

    気づいた時にはノスクの巣に誘い込まれている、あの身の毛もよだつシーンです。

    途中、たくさんの虫が息絶えて横たわっていることにお気づきになったでしょうか。彼らの心をのぞいてみたことは?

    日本語版
    会いたかった … どのように? … いや … ちがう … 私の顔 … おまえは死んでいるのか? … 逃げるな … 親愛なる … 戻れ … 私のように … 兄弟 … どのように?

    分岐があるので多少前後するかもしれませんが、概ねこんな感じで入口から終点であるノスクの巣まで点々と続いています。こうした断片的な言葉から彼らに何が起きたか想像できるでしょうか。僕は、わかりませんでした。そこで言語を英語にしてやってみたら、ようやく状況が飲み込めて、ゾッとしました。英語版は以下の通りです。

    Missed you … How?  … No  … Wrong … My face … You were dead? … Don’t run … Dearest … Come back … Like me … Brother … How?

    これを、状況に即した日本語訳に変えてみよう。

    会いたかった … どうして(ここに)? … そんな … おかしい … 私の顔 … 死んだんじゃなかったの…? … 逃げないで … ダーリン … 戻ってきて … 私そっくり … 兄さん … どうして?

    今度は聞こえてきませんか。ノスクの恐るべき罠にかかった虫たちの最後の叫びが。ノスクは狙った獲物の心の中を探って、親しい相手の姿を作り出し、それを囮におびき寄せます。暗闇の巣はハロウネストの敵対国。倒れているのが、全てハロウネストの虫たちであるのは偶然ではありません。敵国の迷路のような暗がりの中で、不意に目の前に現れた、そこにいるはずのない愛しい相手。恋人であったり、死んだはずのきょうだいだったり。被害者が一番会いたい相手をノスクは選んで化けるのです。

    獲物に大事な相手がいない場合は、主人公の時と同様、本人の姿に化けるということが、「私の顔」あたりから察せられます。

    「あり得ない」と思いながらも夢中で追いかけて行く。「兄さん、死んだんじゃなかったの?会いたかった!逃げないで!」見失いそうになりながら懸命に追っていくと、愛しい相手の顔が突然歪み、正体を現したグロテスクで巨大なクモが襲いかかってくる。途中でやはりおかしいと気づいた者も、毒牙にかかる瞬間まで再会を疑わなかった者も等しく倒れて、そこに横たわる。

    悪夢です。自分のそっくりさんは、実は以前にも一度見かけています。カマキリ族の村から暗闇の巣に入って、ムカデが暴走している難所で迷っていると、さりげなく現れて、そっちにいくと温泉とベンチのある穴に落ちて助かるのですよね。この経験があったので、味方だと思っていたんです。甘かったです。単にノスクは獲物を近くにおびき寄せただけだったのだと思い知りました。

    これ、すごい演出ですよね。ノスクの卑劣さ、狡猾さ、冷酷さ、被害者の戸惑い、恐怖、そして一連の光景が雄弁に語る悲惨な運命が間もなく自分に降りかかるのだという恐るべき予感を、これ以上効果的に、しかも大してコストをかけずに感じさせることが可能でしょうか。ゾクゾクさせるのに、美麗なフル3Dとか必要ないってことがよくわかります。想像力を刺激するのが一番いいんです。現物を見せられるより、想像させる方が、それぞれ自分が一番怖いように想像しますから。

    ああ、怖い怖い。ノスク怖い。舞曲風のかっこいい曲をもらい、キャラデザも群を抜いて不気味で優遇されていますよね。

    ところで神の家でノスクの上位版と戦うと、自分じゃなくてホーネットに化けるんだそうです。主人公の中でホーネットは特別な存在になっていく、ってことが示唆されているんでしょうか。

    ちなみにノスクの攻略は、くれぐれもホーネット(再)を倒して影の衣アリで挑みましょう。難易度が段違いになります。


  • 地味ながら重要人物・カタツムリの霊媒師:ホロウナイト考察

    祖先の塚を憶えていますか。最初通過しただけでウッカリ存在を忘れてしまいがちですが、最初のソウル技[復讐の魂]をもらう重要な場所です。

    貝殻のような帽子(=カタツムリの家)をかぶったカタツムリの霊媒師が、そこにいます。

    おじさんはこの後明らかになるように主人公が何者か知っていてこの力を授けたわけではなく、自分が守る塚に住み着いた迷惑な生き物を、その力を使って退治してほしかっただけのようです。

    得体の知れない初対面のおじさんから、いきなり得体のしれない何かを授けられそうになり、尻込みすると、「これがないと先に進めない、」つまり暗にゲームの進行上必要であると言われます。

    その役目を終えると「もう用はない」みたいなことを言われるので、日頃から有象無象のゲームをやり過ぎて”スレた”ユーザーは、つい「魔法を獲得するためにだけある場所で、もう来なくていいようだ」などと思ったりします。

    実際、ここで授かる遠隔攻撃が無いと次のエリアである緑の道への通路を塞いでいる巨大バルダーを倒せず先に進めませんので納得してしまうのもあります。

    ですが、そこが何度も帰りたくなるホロウナイトの世界と、納期に追われてやっつけ仕事で売り出された愛のないゲームの世界との違いで、折に触れて訪問すると、ちゃんとセリフが変わります。

    それも、魔法の専門家にふさわしく、主人公が新たに身に付けたソウルの技に強い関心を持って反応し、コメントしてくれます。

    そもそもこの塚には終盤に覚える2段ジャンプが無いとアクセスできない「ささやきの根」もあるので、プレイヤーの再訪は想定され、奨励されていたりするのですよね。 

    地味ながら重要人物・カタツムリの霊媒師:ホロウナイト考察イラスト1

    そしてその数々のコメントから、主人公が冒険によって各地で獲得した多くの技が、おじさんの親戚由来の技だということがわかります。そういえば、水晶山の大きな結晶に閉じ込められていた誰かはおじさんに似ています。

    帽子にトゲトゲがついて、首飾りは仮面(この世界のしゃれこうべ)の代わりに水晶山の住民らしく水晶になっています。四番目の叔母さんなんだそうです。

    それぞれの性格を知ることで、同じスキルなのに違った気持ちを持って使うようになったりします。こういう細やかさが世界の厚みとなっていくのがよくわかります。

    そして、ここにもホロウナイトらしい切なさがあります。実際に起きたことと、おじさんが想像していることとの間に結構大きな「ずれ」があることです。

    地味ながら重要人物・カタツムリの霊媒師:ホロウナイト考察イラスト2
    そうじゃないんです!でも語らぬが花かもしれません

    おじさんは自分が主人公にそうしたように親戚が魔法を「教えた」と思っていますが、実際には、叔父さんも叔母さんもこの世去っていて、主人公はその命の余韻のようなものを拾ったに過ぎません。

    喋らない主人公がその誤解を訂正することはありませんので、プレイヤーはちょっとした葛藤を抱えたままになります。中には壮絶な最期を迎えたということが容易に想像できるケースもありますので、やむくもに真実を伝えればいいというものでもないでしょうし。

    各スキルに対応するおじさんのセリフは、たまに読みたくなるのでスクショに撮ってあるのですが、ライブラリから探すのが大変なのでまとめました。まだ読んでいなくて自分で話しかけたい人はUターンしてください。そのために少しスペースを開けておきます。






    獲得したソウル技ごとのカタツムリの霊媒師のセリフ

    [復讐の魂]
    おじさんに教わる技なのでコメントはなし。

    [シェイドソウル]
    「なんと、わしが与えた復讐の力が、おまえの中で変化したようだな。おまえはあの力をなにか…別のものに変えてしまった。オホホホ!ただモノではないと思っていたがな!おまえのエッセンスが魔法と結合したようだ。そのように豪快な変化を引き起こすとは、きっと強力な力の源を見つけたのであろうな。」

    figureの訳を逃げていて、イミフになっている

    復讐の魂を強力にするシェイドソウルは、優美な鍵を使って入るソウルの聖域の左側の塔で入手します。本来の持ち主である人物は、やはりカタツムリの帽子をかぶっていたのでカタツムリ族なのだとは思いますが、おじさんがその力を認識しないということは親戚筋ではなさそうです。

    ところでここの原文は

    “A figure connected to a device.”

    ですが

    日本語訳はfigureの解釈に困ってか

    ”なんらかのカラクリがある。”

    という曖昧な訳になっており明確な間違いではないかもしれませんが、ホロウナイトの物語上での意味は分かりません。このfigureは「人」の意味で、「誰かが何かの装置につながれている」ということだと思います。

    地味ながら重要人物・カタツムリの霊媒師:ホロウナイト考察スクショ2
    “connected”が日本語になっていないんすよ

    この場面で、これが犠牲者から魔力を抽出する装置だ、ということが伝わらないと、ソウルの聖域で組織的かつ日常的に行われてきた悪行のおぞましさと、それを罰した王の決断の正当性がハッキリしませんので短いですが、重い一文なのですよね。

    とはいえ、大きな流れがハッキリ見える小説や映画と違って、断片的なものを含み全体像が掴みにくく、おそらく詳しい説明も無いと思われるゲームの翻訳って本当に大変だと思います。ビッグタイトルでもビックリするような誤訳があったりすることを思えば、ホロウナイトの訳はインディーゲームなのに健闘していると言っていいでしょう。

    例えば英単語では伯父と叔父、伯母と叔母の区別が無いのですが、おじさん、おばさんと平仮名にしても問題ないところを、敢えて関係がハッキリする叔父と叔母になっているの、いいなと思いました。それぞれ三番目、四番目であることと、祖先の塚を守っている霊媒師の親は長子か、そうでなくても兄弟の上の方であろうという判断ですよね。こういう一歩踏み込んだ翻訳って好きです。

    機械にかけられていた謎の人物は、機械から降ろした瞬間事切れますが、最後の瞬間にカッと目を見開いて叫びます。つまり、意識があります。なので、他のケースのような拾い物ではなく、主人公が「ソウルの師」が掠め取っていたはずの「破壊のダイブ」を身につけていることに気づき、一連の悪に立ち向かっていると信じて託してくれたのだと思いたいところです。

    ファッションがカタツムリなので影の一族とは関係なさそうですが、おじさんが「おまえのエッセンスが魔法と結合した」と評したように、持ち主の最後の無念の怒りが、主人公の影属性と結びついた結果ということかもしれません。

    [亡霊の叫び]
    「わしの大きな”いとこ”から力を得たようだな。おまえもなかなかやるのう。
    彼女はもともと親切なタチではないし、当然わしのように気前もよくない。だがあの声はすばらしい!彼女のソウルがあのような力を持つのも当然だ。」

    地味ながら重要人物・カタツムリの霊媒師:ホロウナイト考察スクショ6
    確かに帽子でかい。しかし切ない

    もう帽子しか残っていませんが、確かに帽子のサイズから察するに、かなり大柄なのは確かです。夢の釘で最後の思いが聞けます。ケチでいじわるだったかもしれませんが、もういないとなると寂しいものです。おじさんがそれを知らないのも。

    [アビスの叫び]
    「その叫び…おおお、そのような形で歪められるとは…われわれの種にはできない芸当だ。おまえがその力をどこで得たにせよ、それはわれわれが決してのぞこうとしなかった場所であろう。」

    上記の叫びをアビスでアップグレードしたもの。おじさんにとって影の力は未知だということ、影の一族とは関係がないということがわかります。体が真っ黒なのでもしや、と思っていたのですが。

    [破壊のダイブ]
    「ホ!新しい力を得たようだの。足元の岩を砕くその力、より深くもぐりたい者にとっては有用だろう。わしの三番目の叔父が同じ力を持っていた。しかもかれはすごく短気での!まったく恐ろしい存在だった!」

    地味ながら重要人物・カタツムリの霊媒師:ホロウナイト考察スクショ3
    こいつはカタツムリ一族には見えませんよね

    これ。おじさんはそう言いますが、ソウルの師をやっつけて入手したのですよね。ではあいつが三番目の叔父さん??? いやいやいや、カタツムリ一族には到底見えません。これはアレですよ。つまり、シェイドソウルの元になる力をくれた犠牲者のように、あの機械にかけられて「抽出」されたということですよね。むごすぎる。そして、このあたりのグロい事情を点在するヒントによってユーザーが察するように促す演出が素晴らしい。

    聖域にある懺悔の告白とか、奥に隠されたおびただしい数の遺体とか、ソウルと生への妄執から異形の物体に成り果てている魔導師たちの末路とか、巨大だったのに倒したら萎れたしょぼい普通の虫になったソウルの師の本体とか。いちいちゾッとしました。

    [漆黒のダイブ]
    「友よ、おまえはまた新たな力を得たようだの。ひょっとしてわしの四番目の叔母と会ったのか?彼女はあの水晶山の横に住んでおる。訪ねた者はなかなか驚くようだの。この場所にしばられていなければ、わしも会いに行きたいところだが。」

    地味ながら重要人物・カタツムリの霊媒師:ホロウナイト考察スクショ4
    僕が殺してしまったんじゃないよね?ね?

    結晶に閉じ込められて、叔母さんはもう生きていなかったのだと思うけど、粉々にしちゃってごめんなさい…。ところで訪ねた人が驚くのはすごい難所だから?おじさんは極めて普通に「会いに行きたい」と言っています。あのトゲやウザ敵を脅威に感じないほどの身のこなしなのでしょうか。一度ご一緒してみたいものです。

    〜おまけ〜
    [ソウルイーター]
    魔法ではありませんが、安息の地の地下奥に隠されたチャーム[ソウルイーター]を拾う場所にもカタツムリの魔導師の姿があります。普通のファンタジーでいうエルフのように、ホロウナイト世界で魔法に長けた種族といえばカタツムリということでしょうか。チャームが誰かの最後の思いであることが多いことを考えると亡骸なのかもしれませんが、なかなかファッショナブルです。

    地味ながら重要人物・カタツムリの霊媒師:ホロウナイト考察スクショ5
    よく見ると部屋もカタツムリのおうち型

    このように魔法の力に秀でたカタツムリ一族ですが、田舎でひっそりとストイックで素朴な暮らしを送り続けるカマキリほどの集落さえ無く一族は分散して、その多くは死亡していたりします。祖先の塚の規模を考えると、昔はかなり繁栄していたはずなのに。

    たまたま汚染に飲み込まれて頓挫したものの戦士の一族であるカマキリ族にも王国による征服の手が伸びていたこと、叔父さんの非業の最期などを考えると、真っ先に攻撃を受けたのではないかと思われます。一族の持つ魔法の力は普通の虫の集まりであるハロウネストにとっては脅威だったでしょうから。

    それで「復讐の」魂なんでしょうか。

    カマキリ村討伐に差し向けて返り討ちに遭った長老フーは、どうもカマキリ一族が狂った荒くれ一族だというようなウソを吹き込まれて政治的に利用されていたようですし、領土拡大には必ずダークな影が見え隠れします。そのへんがグロや嗜虐性重視の普通のダークな作品とは決定的に一線を画しているように思います。


  • 家庭内留学としてのドラゴンエイジ:インクイジション

    10周以上遊んで全職業全種族プレイはもちろんのこと教皇擁立に暗躍し、口説けない相手までも口説き、単独ドラゴンハントや素材収集まで遊び尽くしたようで、いまだに知らないことが起きて驚かされるドラゴンエイジ・インクイジション(以下DAI)。ゼルダのような一本道ゲームでも何度も遊ぶ僕にとっては毎回がアプデ後のようで飽きません。

    戦闘も安全で強いローグ(弓。ダガーは逆にプロ向け)でクールダウン待ち→魔導師でクールダウン管理→近接剣盾で壁→近接大剣で前進防御、と進化して今が一番楽しいです。いつかダガーもできるようになるでしょうか。

    せっかくなので英語字幕にしてみました。すると、意外と聞き取れます。話や用語が頭に入っていることや、声優さん達の話し方に慣れてきたせいもあるでしょうが、1周目とは比べものにならないほど意味が分かることに驚かされます(当社比)。

    「海外の映画やドラマを垂れ流しておけば英語が喋れるようになる!」と言う人がいます。もちろん間違ってはいないでしょう。でも受け身ですからね。効果が出るまでに数ヶ月、下手すれば数年かかります。ボーッとしていたら意味がわからないままだし、つい飽きてゲームやりたくなったり…。そう、そこでゲームです!

    外国に行ってしまえば話せるようになる、とは、真実だと思いますが、なぜでしょう。通じなければ食事にもありつけず電車も乗れずで必死になるので上達も早いということではありませんか。その点、会話によって分岐が大きく分かれるこのゲームは英語教材として最適ではないでしょうか。ヘンテコな答えを返して面倒なことになるとずっと困るので必死になります。「聞き取れるかな?」ではなくドツボがイヤなら「聞くしかない」のです。この必死さは一本道作品や放置しておいても大団円を迎える映画では決して得られないものです。

    そしてゲームの舞台となっている動乱の世では雑多な登場人物が実に雑多な英語を話すので、いろいろな訛りにも慣れてくるのが、普通の英語教材にはない強みだと思います。最初の頃は訛りがキツイと耳が受け入れを拒否してしまうような強い抵抗感がありましたが、そのうち慢性化して緊張しなくなってきます。

    単なる英語教材ではなく「留学」とまで書いたのは、上記リアルな訛りの他、信仰といった日本人にとってはお尻がムズムズして逃げ出したくなるようなデリケートな話題とそのかわし方や、いろいろな人種の人とサシで話す緊張や、日本では遅れているLGBT問題などと継続的に「接する」ことによって、そうした欧米の(カナダの?)社会に飛び込むと受ける洗礼を、少しばかり予習できるようにも感じたからです。

    しかも、聞くだけではありません。何周もしていると、よく聞く表現は口をついて出るようになったりします。「報告があります」「何?」という会話はキャンプで何度も何度も聞かされるし、いつも人から情報を引き出しているので”What is it?”と”I’d like to know more about…”だけはネイティブ並みになってきた気がします。ネイティブだって子供が親の真似をしながら覚えていくのですから、自然なことですよね。

    他に真似できるのは獅子の地で聞かされる「助けてくれー!あの変なモノにされてしまう!」「頼む、出してくれー!」「鍵を壊してくれー!」という囚われた村民の訴えなので使いどころが難しそうですが、重要なのは読むのが追いつかなくなって英語で頭が充満した結果、それが自分の口から出ることに対する抵抗が無くなる、ということではないでしょうか。ゲームをやっているとウザいボスの口真似とか普通にしますよね。それと同じなので「え・英語を話しちゃうよ!」という変な気負いや気恥ずかしさのようなものを感じる前に障害を飛び越えてしまうようです。

    コロナで暇だからとゲームばかりやって気が引けていましたが、思わぬ言い訳効果で、まさに棚ボタ。これからはさらに開き直って堂々と遊び倒せそうです。だって勉強ですからね!ADIは自己投資!これで616円とかお買い得すぎて申し訳なくなってきました。

    開き直った結果家族に「じゃあ何か喋ってみて」と突っ込まれたら?そこで「頼む、出してくれー!」です!外に叩き出されそうですが。

    家庭内留学としてのドラゴンエイジ:インクイジション(漫画)

  • ホライゾン検証漫画:無礼な田舎娘かワイルドなヒロインか

    強大な権力を持つ太陽王に向かって、命を助けたとはいえ、いきなりの「おまえ」呼び。ぶぶぶぶ無礼者ー!ってならないのか?

    英語では子供に対しても大統領に向かっても等しくyouなので、それをどう訳すかは翻訳者の判断ということになります。なぜ数ある日本語の二人称の中でも、下手すれば失礼にもなる「おまえ」なのでしょう。しかも話者は女性です。生まれながらにして社会から追放されており、育ての親であるロストとしか喋らないまま成人したから礼儀知らずということでしょうか。

    そういえば敬称と親称の区別があるヨーロッパの言葉ではどうなってるのでしょう。唯一それなりにわかるドイツ語で見てみました。古い親称Ihrになってます。王はアーロイをduで呼んでいます。duはいつの時代にも一番馴れ馴れ…いえ、親しい呼称です。二人は会ったばかりなので、ここにある差は親しさよりも身分の上下関係です。Ihrの上があった時代もありますが、さすがに最高位以外の呼称で王様を呼ぶとは思えません。つまり、これは多分二人称がIhrとduに分かれたばかりの時代。とても昔です。ドイツ語の訳は、この時代の感じを出そうとしていると思われます。文化レベルが古代ですもんね。

    ところで二人称が分化する以前の古代語を扱う西洋の古典作品の邦訳はどうなっているかというと、原語に区別がなくても登場人物同士の関係性や脈絡から「あなた、君、私、僕、俺、おまえ」その他を使い分けて、自然に読めるようになっています。例えば古代ギリシア。知恵ある人として高名であったソクラテスに対して駆け出しの青年学者や良家の坊やが「おまえ」と呼んだら、ギョッとしませんか。そういう時、日本の古典学者さんは、ちゃんと「あなた」にしてくれています。日本語には二人称がたくさんあるので一対一対応にならないところに融通が利く反面、難しさがあり、また訳者の腕の見せ所ともなります。

    ただ、上記の古典文学は翻訳がなされたのも昔であること、ホライゾンは文学作品ではなくてゲームであることを考えると、一概におかしい、とは言い切れないかもしれません。言葉は生き物であって、現在話している人たちが今後を変えていくからです。「出れる」「重複」のような誤りでさえ、皆で間違えば正しくなります。

    ディアブロの主人公も天使長に向かって「おまえ」と言います。女性でも、です。ただ、この天使長は感じが悪く、この会話もおよそ友好的とは言えない内容の会話であり、加えて主人公はどの職業でもむしろ非常識であった方がふさわしいような突き抜けた人物像なので、おかしいとは感じませんでした。そのように感じたのは僕の感じ方なので、王に対しても「おまえ」と言い放つアーロイの方がいい、と感じる人もいるのかもしれません。

    以上を踏まえても、とりあえずドイツ語を喋るアーロイが身分の違いをわきまえていることには、正直ほっとしました。

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    俺様キャラじゃないんだからさ〜

  • ホライゾン漫画日記:そりゃないぜジョー!

    洋ゲーの吹き替えというと、いつも同じような人たちによる同じような演技で学芸会みたいな感じがするので可能な限り英語音声で遊んでいます。もちろん、聴き取りは実用性からは程遠いので日本語字幕。そしてすれ違いの悲劇が起きたのです。そう、サンダージョー。

    「ジョー」っていうと名前と思うじゃありませんか!

    はい、その通りです。アクセントが頭にあるから普通名詞だってわかるはずなんですね。発音も違うんですよね。顎はジョウですもんね。聞き分けられませんからね。

    あー!どうすんだよ!ずっと「雷を連れてヤツがくるぜ!」みたいな感じでやってたのに!恥ずかしいなあもう!

    それにしてもアクセントのこととかサブローちゃんに指導されてしまうと、文系理系で棲み分けていたのに、ただの劣った人って感じでダブルつれー!

    しかし、サンダージョーほどの強敵を「何なら一緒に狩る?」なんてサラリと言ってのけて、実際に来てくれるヴァージャ姉貴かっけー!「とってこい」系のサブイベントが世の中に溢れているから新鮮でもありました。

    ホライゾン漫画日記:そりゃないぜジョー!
    ああ、恥ずかしい

  • ホロウナイト:エスミーって誰?日本語版から落ちた謎の虫

    ごく序盤の交差路でスライを助けて地上に戻ると、街のじーちゃんがその帰還に言及し、

    「下でどんな冒険をしてきたのか聞きたかったのだが、ろくに覚えていないようだ」と言います。

    スライ自身は遺跡に降りたことも、自分が誰かも覚えており、地下でも地上に戻ってもオロはじめ弟子たちのことを気にかけています。では何を忘れてしまったのでしょう。出会った時に彼がブツブツ言っていた内容を思い返してみると、英語と日本語でちょっとだけ違うことに気がつきます。

    日本語
    「クソッ…どれだけ下までおりればいいんだ…
    ううう…おいオロ…こん棒のように釘をふりまわすんじゃねえ…」

    英語
    “…ugh, Oro you oaf…. You wield your nail… like a club…
    Esmy… how much deeper do we have to go…”

    遺跡を下へ下へと進んでいて、目指す地点は交差路の最下部よりもさらに下であったであろうことがわかります。正気を取り戻したスライ自身は「おかしな夢にみちびかれて、こんな下までおりてきちまった!」

    と言っていることからも、じーちゃんが聞きたかった「遺跡での冒険」はスライにとって「おかしな夢」のような、ぼんやりした記憶になってしまっているようです。

    スライは冒険についても夢についても以後何も語りませんが、日本語版から抜け落ちているEsmyという固有名詞が気になります。どうもスライはそのエスミーさんのことをすっかり忘れている様子。冒険には仲間がいたのではないのか。男女ともに使われる名前なので男性か女性か友達か恋人かさえも不明なまま。そもそもエスミーさんも夢なのか。

    この気になる人名(虫名)ひとつによって、目指していたのは交差路より下というからには宝を求めて都だったのか、それともさらに下の古代の穴、いや、アビスなのか。汚染は虫を虫の墓場へと誘うのか。アビスへ誘うならそれは亡き王の意志ではないのか、などと想像が膨らみ、物語に奥行きがぐっと増します。これが日本語版ではスポッと抜けているのは何故なんでしょうね。せっかくの膨らみがもったいない…ということでここに書くことにした次第です。

    エスミーについてシルクソングで語られるのか、夢かうつつか気になるままなのか。とりあえず今はシルクソングを待つしかないですね。ああ、PS4で出ないならスイッチ買わなくちゃ…。

    ホロウナイト:エスミーって誰?日本語版から落ちた謎の虫