• タグ別アーカイブ: マイラ
  • マイラの心を壊すもの〜汚染の実態(ネタバレ注意)

    訪れるたびに、ちょっと舌足らずな鼻歌で和ませてくれたマイラちゃん。いつまでもそこに、そうしていてくれるのだと思っていたのに。

     ある日、静かなので移動したのかと思ったら、なぜか棒立ちになっていて、よく見ると目がおかしいです。そして次に会う時には、ナイトを見ると襲ってくる、ハロウネストに溢れる魔物の一体となり果てた姿で打ちのめしてくれます。何の罪もない庶民の日常が奪われていく過程を目撃させられる、この物語の一番残酷な部分かもしれません。でも、もっとむごい部分を、僕はまだ見ていませんでした。

    マイラの心を壊すもの6

     そういえば突っ立っている彼女の夢を覗いたことがあったかな、と思いついて夢見の釘を当ててみたんです。すると、衝撃的な内容に軽くショックを受け、試したことが無かったことを確信しました。襲ってくるマイラちゃんの夢を苦労して覗いたことはあったのですが、肝心の部分を知らなくて以前の考察『マイラに何が起こったか』は不完全でした。

    マイラの心を壊すもの4
    棒立ちのマイラちゃんの夢がむごすぎる

    汚染されてオレンジの目をした虫たちがなぜホーネットその他に向かわず主人公だけを狙ってくるのかが、これでわかりました。汚染されると記憶を失うらしいことは街のじーちゃんからも聞いて知っていましたが、その後どうなるかは深く考えていませんでした。本来の意志が汚染源ラディアンスの具体的な意志によって書き換えられていたとは。

    すると、こうも言えます。一見国益になる汚染をばらまくことでゆっくりと着実にハロウネストを滅ぼそうとしたラディアンスの巧妙な計画は、その悪意を器に閉じ込めることで王によって封じられました。しかしラディアンスはあきらめず、王との絆を通して完全な無ではなくなった器の心を内側から攻撃し、その結果生じた亀裂を通して自分の意志を遂行する感染者たちに次なる使命を課したことになります。それは空虚な者を見つけて殺す、つまり新しい器の誕生を妨害することです。そして時間を稼いで現在の器を完全に破壊して再び自由の身となるのが目的でしょう。

    汚染を止めるために自らの不死性をあきらめた王の意志はもう更新されることはない一方で、敵であるラディアンスはリアルタイムに状況に対応できることを考えると、その不気味さ、絶望感は圧倒的です。

    ところで、なぜブレッタやスライは近寄って話しかける(聞く)ことで感染を止めて助けることができたのにマイラちゃんはダメなのか。何が違うのか。そう思って3人の様子を比べてみました。

    マイラの心を壊すもの5
    左からブレッタ、スライ、マイラ

    助かった二人にあって、マイラちゃんに無いものは何でしょう。すぐに気づくのは頭上に漂うオレンジのモヤモヤです。モヤモヤ立ちこめている二人は治って、スッキリしているマイラちゃんの感染は止められませんでした。どういうことでしょうか。

    マイラの心を壊すもの1

    スライもブレッタも思考が漏れるかのようにブツブツつぶやいていたので、モヤモヤも汚染で充満した感染者から溢れているものだと思い込んでいましたが、むしろ入り込もうとしている最中の汚染物質があのモヤモヤなのかもしれません。

    マイラの心を壊すもの2

    すると、マイラちゃんのまわりにも最初はオレンジの雲があって、それが既に入ってしまった時に僕は来合わせた、と。つまり、手遅れ。でも、他の感染した虫たちのように問答無用で襲ってくるわけではなく、意志がまさに上書きされようとしている瞬間です。本当にあと少し早かったら、あそこで寄り道しなかったら、と、無念に打ちひしがれるしかありません。なんと絶妙な演出でしょう。

    以上のことから、汚染をばらまく実行部隊であるらしい汚染の種のライフサイクルを図にすると、こうなるでしょうか。宿主を渡り歩いてどんどん自己増殖を繰り返すのも、宿主の意志をのっとって都合のいい行動をさせるのも寄生虫に見られる特徴なので、心の病と言われる汚染は、実は寄生虫による寄生と考えるべきなのかもしれません。チョコチョコ走っている汚染のタネは虫っぽいですもんね。割とかわいくて、それがまた忌々しいのですが。

    マイラの心を壊すもの3

  • ホロウナイト:マイラに何が起こったか(ネタバレ注意)

    ゲームが始まってすぐ井戸から交差点に降り、右に進んでいくと鉱山入り口があって、入ると素朴な鼻歌が聞こえてきます。鉱山のはずれで、ひとりで掘っているマイラちゃんです。話しかけると掘る手を休め、こちらを向いて好きな歌について話してくれます。一緒に歌おうと誘ってもくれます。フレンドリーです。

    ちょっと舌足らずな話し方が愛らしくて、時々立ち寄ると、訪問を喜んでくれます。その先の鉱山は1800ジオもする高級ランタンがないと進めないので、そこで引き返すのですが、マイラちゃんの歌が聴きたくて通いました。色調の暗いホロウナイト世界での癒し…そう思っていたんです。

    それからしばらくして、異変に気がつきます。歌声が聞こえないんです。いなくなったのかと思うと、よく見ればいつもの場所にいます。でも様子が変です。呆然と突っ立っています。近くにいっても、こちらを向かないし、話してもくれません。首をかしげながらも、その時は他に片付けたい問題もあったので鉱山を後にしました。

    それから緑の道→胞子の森→涙の都と夢中でまわり、ようやく買ったランタンを手に再び鉱山を訪れると…。ああ、カシッ、カシッと掘る音がします。よかった、あの時は疲れていただけなのかも…などと駆け寄ると、あれ?あれ?マイラちゃんが襲ってきます。そういえば相変わらす歌っていません。いつも機嫌よく歌いながらリッチになるために楽しく働いていたマイラちゃんに一体何が?それともマイラちゃんではないのでしょうか。

    狩猟の書にその答えがありました。汚染に感染するとどうなるかの具体的な説明です。

    [チャッカムシ]
    ”ハロウネストのムシたちは古代の病によってその形を歪められている。やつらはまず深い眠りに落ち(1)、精神が崩壊した状態で目覚める(2)。それから身体の変形が始まるのだ(3)。”

    [オオイカリバエ]
    “あの汚染は生物から生物へと感染する(4)。そして感染者に力と勇猛さを与えると同時に、その者の自由意志を奪うようだ(5)。〜以下略”

    つまり、マイラちゃんは鉱山にいる他のムシたちよりひとり離れて作業していたために感染が遅れたのでしょう。でも、遅れても結局感染してしまい、それで久しぶりに訪れたら呆然と立ち尽くし(1: 深い眠りに落ち)、それから精神が崩壊した状態で目覚めて(2)自由意志を奪われて(5)採掘マシーンと化してしまった、ということのようです。

    追記:呆然と立っているマイラちゃんに夢の釘を当ててみることを失念していました。彼女の夢を覗いてみたところ、上記(5)で具体的に彼女の頭に何が囁かれていたかがハッキリします。ゾッとしました。詳しくは別記事『マイラの心を壊すもの』をご覧ください。 

    勇敢で力が強く、自分の意思を持たずに働く労働者や兵士は統治者にとっては都合がよかったことでしょう。それで汚染がどうしようもなく広がる前に手を打つことができなかったのかもしれません。昔の覚醒剤やロボトミー手術と似ていてゾッとしませんか。

    汚染の震源地である黒卵から離れているので、まだ(3)の身体の変形は起きていません。でも、よく見ると目に汚染の象徴であるオレンジ色の光が宿っています。ということは、いずれマイラちゃんの体も…。そういえば、各地にいる敵のムシたち、いわゆる「雑魚」も、目がオレンジです。ということは、彼らもちょっと前まではマイラちゃんのように歌ったり話したりしながら陽気に暮らしていた普通のムシたちだったのかもしれません。邪魔だと思っていてごめんなさい…向かってくるから攻撃せざるを得ないけど辛すぎ…。

    つるはしを振り上げて容赦無く斬りつけてくるマイラちゃんに夢の釘を当てると、

    「すり…きれたガウンを着た…司祭を埋め…」

    マイラちゃんが歌っていた歌の断片が残っています。しかも「思い出せない」と言っていた部分だったりして、汚染が心の病であると言われるように、脳に干渉があったことが知れます。これで違うムシが入れ替わっていて彼女はどこかで陽気に掘っているのではないかという一縷の望みも潰えました。なんと残酷な話でしょう。いずれマイラちゃんの心からも歌が消えて他のムシたちのように「殺す…狩る…」のような殺伐した思いに塗り替えられてしまうのでしょうか。

    話をペラペラと語るのではなく、こうしてユーザーが自分で発見して察していくようになっているとジワジワと沁みるように見えてくる感じがたまりません。

    追記:「思い出せない」と言っていた二番の歌詞は、緑の道に行く前にもう一度話しかけると正気なうちに「思い出した」と言って歌ってくれることに気づきました。

    マイラに何が起こったか